「フロリダ州では勝てません」
特に、南部フロリダ州では社会主義は不人気です。サンダース候補は、同州でマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長及びジョー・バイデン前副大統領に苦戦を強いられています。その理由をマイアミからネバダ州にサンダース氏の応援に駆けつけたヒスパニック系米国人で社会主義者のパブロフさんが、次のように説明してくれました。
「バーニーはフロリダ州では勝てません。キューバやベネズエラからの移民は社会主義に対して嫌悪感を抱いているからです」
キューバ系及びベネズエラ系の移民に加えて、フロリダ州は多くの退職高齢者の流入先になっています。同様に、ラスベガス近郊のヘンダーソンにも退職高齢者が住んでいます。彼らは反社会主義の世代です。
さらに、ドナルド・トランプ米大統領の発言も、サンダース陣営が社会主義をアピールしない理由の1つでしょう。トランプ大統領は民主党を「急進的社会主義」とレッテルを貼り、「米国は決して社会主義にはならない」と繰り返し主張しています。トランプ氏にはサンダース候補を利用して、社会主義を大統領選挙の主要な争点にする思惑があることは明らかです。
それに対して、サンダース陣営は社会主義の争点化を避けたいのが本音です。支持基盤である社会主義の若者に加えて、反社会主義の有権者も取り込み、支持層拡大を狙っているのでしょう。
「目標は11月」
有権者名簿に基づいて標的となっているアジア系米国人に電話をかけると、ある女性の有権者がサンダース候補に期日前投票をしたと語りました。そこで、筆者は感謝の意を述べて電話を切ると、会話を聞いていたアンジーさんが透かさずこう注文をつけてきたのです。
「私たちは本選に勝つことを目標に置いています。バーニーに期日前投票をした支持者には、11月にも投票をするように促してください」
このとき筆者は、サンダース陣営の民主党党員集会及び予備選挙を勝ち抜く意気込みを肌で感じました。