海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年3月16日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

バイデンのリスクマネジメント

 一方、民主党大統領候補指争いを戦うジョー・バイデン候補は、3月10日に予定していたオハイオ州クリーブランドでの集会を中止しました。集会における感染拡大を懸念したからです。

 バイデン候補は13日記者会見を開きました。冒頭、「我々は科学を信じている」と述べました。これはトランプ大統領に対する痛烈な批判です。気候変動を「でっち上げ」だと主張するトランプ大統領は、新型コロナウイルス感染の脅威に関する科学的なデータを信用していないという隠されたメッセージを発信したのです。

 続いて、新型コロナウイルス感染の問題は、政治とは全く関係ないという立場を示し、トランプ大統領が指摘している民主党による「政治利用」を全面否定しました。

 その上で、無料の新型コロナウイルス検査の提供について言及し、検査に関して老人ホームにいる高齢者を優先するべきだと主張しました。ワクチン開発にも触れ、「開発には時間を要するが、ワクチン接種も無料にするべきだ」と提案しました。

 バイデン候補は、オバマ政権時代に豚インフルエンザによる危機的状況を乗り越えた経験に関しても述べました。地球規模で新型コロナウイルスの感染が拡散する中、「グローバルな協調のとれた政策が必要だ」と強調しました。これはかなり的を突いた発言です。

 記者会見の最後に、バイデン候補は「私が大統領ならば、専門家(科学者)のアドバイスに耳を傾ける」と語り、再度トランプ大統領を批判しました。

 加えて、バイデン候補はウイルス拡大の危機に直面する米国民に対して、リーダーが「真実」を語ること、そして「誠実な態度」な態度を示すことが重要であると述べて締めくくりました。トランプ大統領に欠如しているとみられる性格と危機管理を結びつけて米国民に訴えたたわけです。そうすることで、バイデン候補は自分を「危機管理に強いリーダー」として描きました。

 思えばバイデン候補の人生そのものが危機管理の連続でした。最初の妻と娘を交通事故で亡くし、癌で長男までも失いました。これらの危機を乗り越えたバイデン候補の言葉には、パワー(力)がありました。

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