2022年7月2日(土)

日本再生の国際交渉術

2012年5月24日

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渡邊頼純 (わたなべ・よりずみ)

関西国際大学国際コミュニケーション学部長・教授

1953年生まれ。上智大学大学院国際関係論専攻で修士号取得、博士課程後期を単位取得満期退学。専門は国際政治経済論、GATT・WTO法、欧州統合論。GATT事務局経済問題担当官、外務省経済局参事官などを経て2019年4月より現職。慶應義塾大学名誉教授。2015年4月より三菱ふそうトラック・バス株式会社監査役。

TPP優先で日中韓FTAの交渉開始時期を早めよ

 では日本としてどう対応するべきなのか? 筆者を含めて「年内交渉開始」を手放しで喜んでいる人はおそらくいないだろう。そんなに悠長に構えていたのでは、年内開始もおぼつかなくなる。中韓FTAが先行し、日本が置いてけぼりを喰らうことになりかねない。気が付いたら、韓国車については中国の25%という高い自動車関税が段階的に撤廃されるのに、日本車については25%がそのまま適用されるという悪夢が現実になっている危険性がある。

 ではどうすれば良いのか。答えは簡単である。日本の通商戦略の優先順位第一位にTPPを据えることである。TPP交渉に日本が本格参加すれば、中国も韓国も日本を東アジアに引き込むために日中韓FTAについても年内のより早い段階に交渉開始時点を前倒ししてくる可能性が高い。逆に日本のTPP参加が遅れれば遅れるほど中韓両国は安心して彼らのペースで2国間FTAを交渉できる。

 日本が東アジアでリーダーシップを発揮し、アジア太平洋で中国とアメリカの懸け橋になるためにはTPPを先行させ、それでもって日中韓FTA、さらにはASEANプラス6のような広域FTAを推進する重層的通商戦略を明確にするべきである。

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