2024年12月9日(月)

赤坂英一の野球丸

2020年4月6日

無観客試合は一軍本拠地のナゴヤドームではなく、二軍本拠地のナゴヤ球場で

 そうした意見が増えてきたためか、先月9日には無観客試合を「ほとんどあり得ない」としていた斉藤コミッショナーも、僅か1カ月足らずで方向転換。今月3日の12球団代表者会議終了後には「可能性は否定できない。考慮のひとつにはある」と、初めて無観客を選択肢に入れていることを明かした。

 観客を入れないのであれば、少しでも経費を節減するため、本拠地以外の球場で試合をやればいい、という意見もある。実際、開幕日が4月10日に設定され、公式戦の日程に沿った練習試合が行われていたころ、中日から「無観客試合は一軍本拠地のナゴヤドームではなく、二軍本拠地のナゴヤ球場で行いたい」という声があがっていた。そのほうが、球場使用料がはるかに安く上がるからだ。

 二軍のグラウンド、無人のスタンドで一軍のスター選手がプレーし、テレビやネットの中継でファンに届けられる。現時点では具体的にイメージしにくいが、今年の場合はそれが最も安全にプロ野球のシーズンを完遂する方法ではないだろうか。

 いや、そんなことをするぐらいだったら、いっそシーズンを中止にしたほうがマシだ、というファンや関係者もいるかもしれない。そこで、やはり試合が中断しているJリーグの関係者がもらした、危機感溢れる声に耳を傾けてほしい。

 「われわれが恐れているのは、たとえコロナパニックが収まっても、以前のように大勢のサポーターがスタジアムに足を運んでくれるかどうか、です。よほどの特効薬やワクチンが開発されない限り、コロナに対する恐怖やトラウマは残るはず。そのとき、スタジアムに戻ってくるお客さんがどのくらいいるか。

 仮に戻ってきても、いままでのように、旗を振ったり、大声を上げたりと、感染リスクを高める応援は禁じられる。ユニフォームのレプリカを着て大騒ぎすることもできない。そのうち、サッカー観戦はつまらない、もういいや、と思う若い人が増えるかもしれない。たとえそうなってもJリーグのチームを応援してもらえるように、選手や関係者の全員がいまから考え、サポーターに向けてアピールや情報発信をしていく必要があると思う」

 プロ野球にとっても他人事ではない。シーズンが中止になれば、国民のコロナへの恐れを助長し、野球に対する関心が薄れることも十分予想される。だからこそ、もし今年試合を行えるのなら、無観客であっても開幕したほうがいいと思うのだ。それが全国のファンを喜ばせ、ひいては日本に元気を与える一助になるのだから。

  
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