2022年12月9日(金)

Washington Files

2020年4月8日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

「ナイーブで間抜け」艦長を糾弾する長官代行

 さらに、モドレー海軍長官代行は5日、同空母上官、乗員向けに、ビデオを通じ、艦長解任に至ったいきさつを説明、その中で(艦長が直訴した行為について)「彼はナイーブで間抜け(stupid)だった」と酷評したことから、さらに同代行に対する批判や非難をあおる結果となった。

 これに対し、トランプ大統領は直訴問題が浮上した当初、「海軍長官代行の措置は正しかった。艦長は上の人たちに相談すべきだった(注:艦長は直訴状の中で上官の裁可を仰いでいた)」などとして、ペンタゴン・トップの立場を擁護していた。

 ところが、大統領は6日になって、コロナ対策ブリーフィングの場で、記者団から空母艦長の要職にあった軍幹部を「間抜け」という下品な言葉で批判したことについて質問が浴びせられ、「海軍長官代行が行った説明全文を読んでいないが、そのような強いラフな表現があったとは聞いている」とした上で、「とにかく艦長解任問題について自分でよく調べてみる。いろんな言い分をうまく収めるのは自分が得意とするところだ」と語り、解任が適正だったかどうかを含め、判断を下すことを明らかにした。大統領は「問題の二人(長官代行および艦長)ともに良い評判があることも知っている」とも付け加えた。

 この発言は、いったんはおさまったと思っていた艦長解任問題が、予想以上に軍関係者や軍属の間で批判が拡大し始めたことから、大統領としても、11月大統領選を意識して、直接事態収拾に乗り出さざるを得なくなったと判断したものとみられる。

 このほか、米議会では、多くの上下民主党議員および無所属系議員の間からも、解任問題真相究明と同時に、海軍長官代行の解任を求める動きも出始めている。

 大統領は「なるべく早いうちに判断を示す」と約束しているだけに、いったん解任されたクロジア艦長の今後の処遇を含め、関心はさらに高まる一方だ。

 なお、クロジア艦長は下船後、コロナウイルス感染テストで陽性と診断され、現在、グアム島内の病院に入院中だ。

 モドレー長官代行は7日午後、艦長に対する即刻解任およびその後の言動について全米で猛烈な反発を巻き起こした責任をとって、エスパー国防長官に辞表を提出、ただちに受理された。

  
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