2024年11月22日(金)

中東を読み解く

2020年4月23日

最高裁判事、検事総長の人事に「拒否権」

 地元メディアなどによると、ネタニヤフ首相は司法相をガンツ派に譲った代わりに、最高裁判事の任命を監督・審議する議会の「判事任命委員会」の大勢を自派で押さえたという。首相は自らの裁判を行うかもしれない最高裁判事の任命に事実上の「拒否権」を持つことになったわけだ。また次期検事総長や検事の任命にも首相が「拒否権」を持つことが合意文書に盛り込まれているという。

 連立政権の発表を受けてイスラエルで語られているのは「勝者はネタニヤフ首相」(アナリスト)であり、「敗者はガンツ氏」ということだ。首相にとって最大の脅威だった「青と白」はガンツ氏が懐柔されて分裂し、勢力は激減した。コロナウイルス対応で強い指導者であることを見せ付けて復活した首相にしてみれば、ガンツ氏はもはや恐い存在ではない、ということだろう。

 これに対しガンツ氏については、「権力にへつらっている」(元「青と白」の有力議員)「いまやネタニヤフ首相のクローンに成り下がった」(アラブ系議員)と評判が悪い。有力紙のコラムニストらは「首相はガンツ氏の皮をはぎ、丸焼きにするだろう」「彼は首相に留まるため、合意の抜け穴を必ず見つける」と波乱を予告している。

  
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