WEDGE REPORT

2020年4月21日

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トランプ大統領のボードを持ち出して、自宅待機命令に抗議する人々@カリフォルニア州エンシニータス(REUTERS/AFLO)

 世界最悪のコロナ禍に苦しむ米国の感染を拡大したのは、トランプ大統領の根拠なき楽観論を後押しした保守系メディアや論客たちだという見方があらためて強まっている。現在、ネットを中心にマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がウイルスを製造したとのフェイクニュースが出回っているが、その背後にもこうした親トランプ派の影が見え隠れしている。

ディープステイト(反トランプ派)の陰謀論

 トランプ大統領が当初、コロナウイルスのまん延を中国や韓国、日本など外国のことだと軽視し、高をくくっていたのは明らかだ。大統領は

 「暖かくなれば奇跡的に消え去ってしまう」
 「米国民へのリスクは低い」
 「十分制御できる」

 などと根拠のない楽観論を発信し続けた。大統領のこの姿勢が「心配する必要なし」と国民に誤った印象を与え、事態を悪化させた要因の1つだ。

 この大統領の楽観論を後押しし、旗を振ったのが親トランプ派のメディアやテレビ司会者、保守派コメンテーターたちだった。とりわけ大統領が贔屓する保守系FOXテレビの果たした役割は大きかった。ウイルスの震源地とされる中国批判を繰り返したこうした人々は1月から2月にかけ、まん延に警戒を呼び掛ける動きを見下し、からかうような言動に終始した。

 米国で15人の感染者が伝えられた2月26日当時、ラジオ・トークショーの著名な司会者で、タカ派の代表的存在のラシュ・リンボー氏は「大げさすぎる」とウイルス感染報道を批判、トランプ氏のお気に入りのFOXテレビのトークショー司会者、ショーン・ハニティ氏は憤然とした様子で番組を始め「終末が切迫している。みんなが死ぬ。すべてトランプのせいだ」などと皮肉り、警鐘を鳴らす民主党勢力をあざ笑った。

 黒人の保守派コメンテーターのキャンディ・オーウェンズ氏もウイルスのまん延を懸念するリベラル派を「“この世の終わり”を主張するパラノイア」と批判。トランプ大統領は同氏をホワイトハウスの晩餐会に招き「必ずしもウイルスがまん延するとは思わない」と述べ、感染拡大論にブレーキを掛けた。

 こうした保守派の主張は3月に入って一段とギアが上がった。

 「中国人に仕組まれた陰謀」(リンボー氏)
 「大統領を弾劾しようとする新たな試み」(FOXビジネステレビの人気キャスター、トリシュ・リーガン氏)
 「(大衆の間にパニックを広げようとする影の政府による陰謀、というツイッターに対し)恐らく本当だ」(ハニティ氏)

 といった具合だ。特にリーガン氏はリベラル系のメディアがコロナ禍を利用して大統領を破滅させ、株式市場の暴落を促していると発言。2週間後、強い批判を受けてキャスター降板に追い込まれた。

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