神話化する「星条旗のもとに団結する米国」
米国民は戦時下では、「星条旗のもとに団結する」と言われてきました。トランプ大統領はコロナとの戦いで自分を「戦時下の大統領」として描き、「上陸したコロナ」など国民の戦闘意欲を高める言葉を用います。
しかし、トランプ大統領の狙い通りには支持率が上がりません。危機的状況における米大統領の支持率をみてみましょう。
米ギャラップ社の世論調査(01年9月14-15日実施)によれば、米国が同年9月11日に同時多発テロに直面したとき、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の支持率は86%でした。同調査(同月21-22日実施)ではブッシュ氏の支持率は90%に達しています。
一方、米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティックスをみると、各世論調査におけるトランプ大統領の平均支持率(20年4月1-23日)は45.8%で、50%以下です。米国社会の分断を深化させて大統領の座を得たトランプ氏に今、そのツケが回ってきています。「星条旗のもとに団結する米国」は神話化しました。これではトランプ氏はコロナを相手に勝機を見出すことはできないでしょう。
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