2022年12月10日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年5月16日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

希望的観測

 トランプ大統領とファウチ博士の新型コロナ対策に関する見解は明らかに相違しています。公聴会を聞いたトランプ大統領は、ホワイトハウスの記者団に対して「ファウチの発言に驚いた。私にとって受け入れられない回答だ」と述べ、不快感を示しました。特に、ファウチ氏が学校再開に慎重な姿勢を示した点を挙げました。

 しかし、前述したように、ファウチ氏は新型コロナウイルスと子供の間で見られる謎の炎症性症候群について調査中であり、学校再開は安全ではないと判断しています。

 科学者としての「プライド」と「謙虚さ」を公聴会で見せたファウチ博士に対して、トランプ大統領は「ファウチはあちこちにいい顔をしたがる」と述べて、個人攻撃を加えました。「ファウチ退陣」を求める共和党保守派や、各州で経済活動再開を要求する抗議活動家にアピールする狙いがあったのかもしれません。

 ただ、トランプ大統領の「ファウチ攻撃」は選挙において代償を払う高いリスクがあります。米ワシントン・ポスト紙とメリーランド大学による共同世論調査(20年4月28日~5月3日実施)によれば、コロナ対応に関するトランプ氏の支持率は44%です。

 一方、ファウチ博士の支持率は74%で、トランプ大統領を30ポイントも上回っています。ファウチ氏はトランプ氏よりも米国民から厚い信頼を得ているからです。

 トランプ大統領は5月8日、「ワクチンがなくても(新型コロナ)ウイルスは数カ月で消えるだろう」と根拠を示さずに予測し、学校再開に強い意欲を見せました。要するに、トランプ氏のコロナ発言は科学的根拠のない単なる希望的観測と言わざるを得ません。

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