海野素央の Love Trumps Hate

2020年5月16日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

ビデオ証言を行うファウチ氏(代表撮影/ロイター/アフロ)

 今回のテーマは、「ファウチ博士の証言」です。ホワイトハウスの感染症対策チームで主要な役割を果たしているアンソニー・ファウチ博士(79)が12日、米上院厚生・教育・労働・年金委員会でビデオ証言を行いました。

 米国の感染症研究の第一人者といわれ、現在米国立アレルギー感染症研究所の所長を務めているファウチ氏は、ロナルド・レーガン元米大統領からドナルド・トランプ大統領まで、合計6人の大統領に感染症問題について助言をしてきました。

 本稿ではファウチ博士の人間性が垣間見える証言に焦点を当て、トランプ大統領にとって同博士がどのような存在であるのかについて述べます。

「プライド」と「謙虚さ」

 ビデオ証言でファウチ博士が科学者としてのプライドと謙虚さの双方を見せた場面がありました。トランプ大統領の応援団の一人であるランド・ポール上院議員(共和党・南部ケンタッキー州)が、ファウチ博士に向かって「あなたが最終的な決定をするのではない」と語気を強めて語り、謙虚さが欠如していると指摘したときです。ファウチ氏は、透かさずラマー・アレクサンダー委員長(共和党・南部テネシー州)に向かって発言の許可を求めました。そして以下のように述べました。

 「私は科学者であり、医師であり、公衆衛生の専門家です。最善の科学的根拠に基づいて助言をします」

 ファウチ博士は科学者としてのプライドを見せると、続けて新型コロナウイルスに関する率直な気持ちを語りました。

 「私たちはこのウイルスについてまだ分からないことがたくさんあります。ですから私はこの病気について全てを知っていないと認識しており、非常に注意深くなっています」

 こう証言すると、ファウチ博士は新型コロナウイルスに関して「大胆な予測をするのは控えています」と謙虚に語りました。その理由として、新型コロナと子供の間で広がっている「不思議な炎症性症候群」との関係解明が進んでいないと証言しました。

 ポール議員はファウチ博士に返す言葉がありませんでした。

関連記事

新着記事

»もっと見る