2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2020年6月24日

画面がフリーズ、接続中断……
学生を襲うアクシデント

(出所)リクルート就職みらい研究所
「第2回2021年採用活動プロセスの見直しの現状に関する調査」
人事部門担当者からの自由回答(計447件)の分類を基にウェッジ作成 写真を拡大

 一方、オンラインでの難しさもある。リクルートがオンライン面接を実施した企業担当者を対象に実施したアンケートでは、「実施してみて良いと感じた」という声が多いものの、不満の声も少なくない。「面接がやりにくい、評価しにくい」「表情、所作、雰囲気が見えづらい」などの声が上がっている(左表)。

 また志望理由などをパソコン画面に表示するなどして「カンペ」を作成し、それを読み上げる学生もいたようだ。ある企業の面接官は、「明らかに何かを読みながら話していて、学生自身の生の声が伝わらない。少し変わった質問をすると、急に慌てだす学生も多かった」という。

 学生側も不安を抱えた就職活動となった。ある学生は、「社員と直接話したり、オフィスに直接行って雰囲気を感じて入社する会社を決めたかった」と、最後の決め手はリアルな部分を望んだ。オンライン面接においても「画面に自分の顔がしっかり映るか、ちょうどいい明るさの場所を家中探して回った」。相手に伝わるのが画面だけという状況で、いかに相手に良く見せるか、試行錯誤したようだ。顔がよく映るようにライトを購入する学生もいたという。

 通信環境も懸念の1つだ。選考中に急に画面が固まってしまったり、選考の1つであるグループディスカッション中に、通信環境が悪くなり急に画面から消えた学生もいたという。リアルな世界にはないアクシデントだ。

 従来、セミナーなどでのワークや、グループディスカッションでは自分のチームだけでなく、他のチームの様子も目に入るので、全体としての空気も感じやすい。その後学生同士が意見交換をする雰囲気も作りやすい。オンラインだと自分たちのグループだけしか見えない。「オンラインではつながりも範囲が限定される。学生にとって予期せぬ横のつながりや、知らなかった会社との出会いが今までより制限されてしまう可能性がある」とビズリーチ新卒事業部長の小出毅氏はいう。

 同社が運営するOB・OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」では、昨年9月からオンラインでのOB・OG訪問サービスを開始した。学生は社員との会話について直接対面とオンラインの双方を選択することができる。それでも今年1月のオンライン機能での実施率は10%程度と、圧倒的にリアルが多かった。

 その後新型コロナの影響で、オンラインでの利用がメインとなった。登録する21卒学生のOB・OG訪問の承諾件数は、今年4月時点で前年同月比の1.7倍となった。「学生が情報不足で不安を感じている」と小出氏は分析する。オンラインの弱点である「繋がり」を今後どう補うか。ある学生は、「こういう状況だからこそ、オンラインでも面接後に個別で担当者がフォローで雑談をしてくれたり、メールをしてくれると安心するし、その企業への関心も高まった」という。 


新着記事

»もっと見る