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2020年6月12日

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 新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの推進などで、オフィスでの働き方が変わりつつある。会社内のあらゆる事務処理を担う日本独特とも言われる部門「総務」はどう変化しているのか。『月刊総務』の豊田健一編集長にインタビューした。

(AndreyPopov / gettyimages)

 月刊総務は、経営陣と従業員、部署と部署をつなぐ総務の仕事に焦点を当てた1963年創刊の日本で唯一の総務部門向け専門誌。法規や労務、教育研修、健康管理といった実務ノウハウだけでなく、業務改善やダイバーシティといった管理部門の最新企業事例や企業トップのインタビューを紹介している。豊田氏はリクルートや魚力で総務の仕事を経験。同誌編集長として、さまざまな企業における総務部門の最新事例の取材や総務の業務改善などのコンサルティングを手掛けている。

 新型コロナ禍での企業の動向も見てきた豊田氏は「リスク管理を含めた対応で、総務は『会社にいないと困る存在』となり、出勤が増えている」と、総務の勤務状況を話す。代表電話の受け答えや、郵送物の振り分け、書類の捺印といった通常業務は変わらず存在し、急遽テレワークが必要となった社員のためのヘッドセットや社内共通サーバー用機器の準備など新たな業務が加わった。企業が事業を継続させるというBCPの観点から求められる仕事も出てきており、普段は在宅ワークも取り入れている社員も出勤せざるを得ない状況となっているという。「危機対策という狙いでテレワークシステムを導入していた企業はすんなりコロナ対応ができているが、社員が育児や介護へ参加できるシステムとしていた企業は右往左往してしまっている」と話す。

 こうした緊急事態だからこそ、デジタル化などを通じて効率的な仕事が求められているのだが、「総務」という部門に関しては特にそれが進んでいないという。「総務は幅広い分野の事務やクレーム電話の対応といったさまざまなを仕事を担当している。各担当者しか分かっていないタスクも多く、全体像をつかんでいない企業がほとんど」が大きな理由だ。

 働き方改革や生産性向上が企業課題として取り上げられる中で、もちろん「総務の仕事も変えなければならない」といった声は出ている。人事や会計といった業務ごとのクラウドサービスを提供する企業も増えており、そうした外部委託を増やせば、自社業務の効率化は見込めるという土壌もできつつある。ただ、「全体の仕事や社内システムと合わなければ、個別のアウトソーシングが効率を悪くすることもある」という。

 まずは総務部門全体の「見える化」が必須。「そこから無駄な仕事がわかり、『やめる』『減らす』『変える』を選ぶ、見直しと改善がはじまる」。その上でデジタルや最新テクノロジーを活用したものに進化していくのだ。しかし、多くの日本企業が目の前の仕事に忙殺されて取り組めないままでいる。実際、企業の総務部門へのアンケート調査では、「業務の可視化ができていない」というのが一番の悩みという結果になっているという。

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