コロナで巻き起こる「テレワークありき」の働き方
新型コロナの影響は今後もしばらくの間、続くとみられる。「オフィス形態なども歴史の揺り戻しのようなことが起こりうる」と豊田氏は指摘する。
例えば、デスクの配置。少し前に、オフィスでの新しい働き方として、その日ごとに自由にデスクを選べるフリーアドレスの導入が企業で進んだ。実際にパフォーマンスも上がったと評価された。これを現在の状況と照らし合わせると、感染リスクの高まりや感染経路があいまいになることから好ましいやり方とは言えなくなってしまう。再び固定席が推奨されるようになりうる。「緊急事態宣言の中での勤務状況を見ていると、働き方の多様性が出てきている。AかBかという判断ではなくて、バランスを取りながら仕事ができる環境を作っていくことが求められる」と分析する。
こうした変革が求められる中で必要となるのが、やはり業務全体の見える化だ。「今までのやり方でいいのか、どう変わるのか、変えるのか。これらを考えるためには、現在位置が分からなければならない」。営業や企画といった現場の情報をどのような流れでトップに持って行き、商品やサービス提供といったアウトプットまで流れるのか。正確でミスがなく、迅速に流すためには何が必要なのかを把握した上で改良しなければならない。外部のサービスを利用するならば、自社の業務フローにどれだけ親和性があるかを検討、もしくはそうしたサービスと適合できるように修正する必要があるのだ。
「総務が持つ膨大な業務をすべて棚卸して、マニュアルを作成するのは大きな労力を要する。変化を起こすためにはそこでまた努力が必要となる。そうした大きな山を越えないと、効率化は得られない」と強調する。現在は直面する危機への対応に力が発揮されているだろう。企業がブレイクスルーできるかは、新型コロナが一つの落ち着きが見えた時にどう考え動くのかで決まってくるのだろう。
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