2024年4月25日(木)

使えない上司・使えない部下

2020年6月20日

勝った試合のあのうれしさが忘れられない

現役時代の坪井将誉さん

 県内の有名店(「芦屋らーめん庵」)で修業していた時に、師匠がいました。5歳程上の男で、面倒見がよかった。覚えは悪かったのに、真剣に丁寧に教えてくれる。あきらめずに、いつも見ていてくれた。自分だったら、イライラして突き放すと思います。あそこまではできない。今があるのは、あの人のお蔭。店の成功は、あの人がいたからこそ。

 15年前に有名店を離れる時、店を持ち、なんとか成功させたいと思った。それが恩返しになるから。今も、師匠のことを時々、思い起こします。休憩時間に、雑談でボクシングのことは何度か話しました。気に入ってくれていたのかな…。そのあたりはわからないですけど。

 ラーメンが好きだったのです。ボクシングで減量をしている時に他の食べ物は口にしなくとも、ラーメンは汁だけ吸うことがあった。減量は苦しいけど、勝つためにしていた。勝った後のあのうれしさを思うと、苦しさに耐えられます。現役の頃、減量は55キロ前後から48キロまで1カ月程で落とすことが多かった。50キロまではすぐに減らすことができるけど、48キロまでの2キロの減量が苦しかった。減量中は、ちょっとは食べる。全然食べないと、ボディが打たれ弱くなる。水分はとらないようにするから、脱水症状に近い状態になる場合がありますね。

 格闘技への転向は、はじめは慣れないから戸惑うことがあった。ボクシングは足技を使わないけど、(格闘技では)使う。パンチはよけられるけど、ハイキックをよけられずに、顔に当たる場合もあった。今は、年間で3∼5試合。1試合で数万円のファイトマネーの時もある。ラーメン店の経営のほうが儲かるけど、勝った試合のあのうれしさが忘れられない。

 殴られるのが、怖い? それは感じませんよ。怖いと感じるのは、ボクシングの頃から今に至るまで試合に負けた時…。痛い? そんなの、感じません。負けることのほうが悔しい。試合開始直後に、ジャブを一発もらうと、わかります。強いから、ヤバイなって。パンチをもらって、こりゃヤバイ、効いた。次に、(パンチを)もらったらマズイ、と感じる場合もある。死ぬ?そんなこと、全然考えない。

 (アメリカの元プロボクサーの)マイク・タイソンの(53歳の)リング復帰? ああ…そんな報道がありましたね。自分が高校の頃に、世界チャンピョンでしたから、(全盛期は)30年程前になる。(仮に復帰した場合)、スピードは以前に比べると落ちているでしょうけど、ヘビー級は1発(のパンチ)で決まるから…。筋力はあまり落ちていないだろうから、勝てるかもしれない。勝てるような相手を選ぶんじゃないかな、と思います。自分も47歳になった今もスタミナは若い頃に比べて落ちてはいないと思うけど、スピードは落ちました。

 総合格闘技への出場? 今は、(試合出場を)考えていません。立ち技格闘技は、倒れた相手を攻撃しない。相手が立つまでこちらは待つ。そこがいいし、自分のこだわりでもあります。まだ、関節技に慣れていないから。今も現役だし、生涯現役でいきたいから、今後はどうなるかはわかりませんけど。プロレス?関心はありません。まずは、今の格闘技で勝ちたい。とにかく、勝つ。好きなんですね。やめられない。勝った時に、すべてが報われる。あの感覚が忘れられない。リングに上がると、誰にも邪魔されずに主役になれる。スポットライトを浴びて…。

 上司と部下への人へのアドバイスで言えば、部下は上司から怒られたら、絶対に見返してほしい。ほめられるようになったら、見返したことになるんだから。上司の人には、あきらめずに部下に教えてほしい。物覚えが悪くとも、懸命に仕事をしているならば、教えてあげてもらいたい。自分が有名店で師匠に教わったように。今の社員を7年前に雇った後、教育係として1人のベテランを臨時に雇いました。しばらく、その教育係が教えていたのです。

 理想の上司で言えば、お世話になっている空手道場・勇誠会の会長・酒谷敏生さんもです。試合で負け続けていても、練習をしていると、試合出場のチャンスをくれるのです。辛抱強く見ていてくれるから、感謝しています。だから、なんとか、勝ちたい。いい上司や部下に恵まれています。理想の部下?母親ですね…。

気合と情熱のラーメン屋「つぼ」店主のブログ

  
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