2024年4月17日(水)

Wedge REPORT

2020年6月22日

別の大事な〝プラン〟

 だが、こうしたチームとしての目標に加えて原監督の頭の中にはステップを踏まなければいけない別の大事な〝プラン〟も描かれている。第3次政権をスタートさせた昨季から肝に命じていた指導者の育成だ。昨季からコーチ未経験者を入閣させ、周囲の不安をヨソに見事な育成力で花を開かせた。

 前記したように「不気味さが増した」ともささやかれる背景には「後継者を育成するため、さらに今季は一歩引いて自身が院政を敷くような体制で戦おうとしているからではないか」との見方も少なくない。特に元木大介コーチは昨季の一軍内野守備兼打撃コーチから今季、一軍ヘッドコーチへ昇格。当初こそ「タレント上がり」と揶揄される向きもあったが、指導者として驚異的なセンスを発揮するとチームにフィットし、今や欠かせない存在になった。

 この元木コーチを次期監督候補と推する声まで飛び交うのも、まったく荒唐無稽な話ではない。「それだけ元木コーチが選手たちからの信頼を集め、良き相談役としても一目置かれている証拠。何より今季からヘッドコーチを任されているのは原監督が自分の傍に置いて王道を歩ませ、全てを伝授したい姿勢の表れでしょう。原監督としても元木コーチを任命した当初『あんなタレント上がりのコーチに何ができるんだ』と嘲笑していた声には当然面白くないと思っていただろうし、それを完ぺきに覆す格好で一流指導者に育成させたことで〝自分の目は間違っていなかった〟と自信を深めているところもあると思う。おそらく次期後継者をとことん行き着くところまで育成していくことに深い喜びを感じているのではないでしょうか」と生え抜きの球団OBは分析する。

 もちろん昨季限りで現役を引退し、今季から二軍監督に就任した阿部慎之助二軍監督は間違いなく有力な「後継者」だ。スーパースターとして長きに渡り、巨人の屋台骨を支え黄金期を形成したレジェンド捕手。現在、ファームでもいい意味で昭和風情を漂わす〝鬼監督〟としてらつ腕を振るっている。普通に考えたら原監督の3年契約が切れる来季オフ、2022年シーズンからはこの阿部監督がバトンを引き継ぐ流れが既定路線と見られがちだ。

 これに抗うように前出のOBは補足する。

 「とはいえ、ありがちな既存の考えに逆らって自己のアレンジに仕上げていくのもまた〝原流〟。今後の展開次第ですが、原監督は阿部監督誕生の前に元木ヘッドの監督就任を推するプランも選択肢の一つとして考えていると思います」

 阿部二軍監督、そして元木ヘッドと有能な監督候補者たちを巨大ヒエラルキーの中に抱え込む今季の巨人はやはり侮れず強い。そして後継者育成を念頭に置きながら、院政モードを強めようとする原監督は他球団にとってミステリアスかつアナライジングしにくい厄介な存在になろうとしている。今季のジャイアンツにはチームの成績や選手たちの活躍ぶりだけでなく、全権指揮官・原監督の描く将来的なビジョンの推移にも目を配る必要性がありそうだ。

  
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