海野素央の Love Trumps Hate

2020年6月26日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

記念撮影と再選

 ボルトン氏は回顧録で19年6月30日に、南北非武装地帯で開催された米朝首脳会談に関しても言及しています。同氏によれば、トランプ大統領の動機は、非武装地帯での金委員長との記念撮影でした。再選の選挙に有利に働くからです。

 そう言えばトランプ大統領は最近、記念撮影で物議を醸しました。ホワイトハウス周辺に集まった反人種差別の抗議活動家を催涙ガスやゴム弾で追い払った後、徒歩で教会に向かい、聖書を掲げて記念撮影を行いました。このときも選挙目的でした。支持基盤のキリスト教福音派にアピールしたからです。

 ボルトン氏は、トランプ大統領のすべての意思決定は再選に動機づけられたものであると指摘しています。そのうえで、トランプ氏は私益と国益の区別がつかないと結論づけました。

共和党保守本流はどう出るか?

 以前説明しましたが、共和党保守本流の中にジョー・バイデン前副大統領を支持する動きがあります。レーガン及びブッシュ親子に仕えたボルトン氏の回顧録は、国益及び同盟国重視の保守本流から一定の支持を得て、バイデン氏にプラスに働く可能性が高いです。

 故ジョン・マケイン上院議員(共和党・西部アリゾナ州)の選挙参謀らが立ち上げた「リンカーン・プロジェクト」は、すでにボルトン氏の回顧録の内容を参考にして、ビデオ広告を打ちました。その中で、「犬のようにトランプは、再選するために習に助けを求めて懇願した」と、有権者に訴えています。

 このように、回顧録は反トランプの選挙運動に利用されています。ボルトン氏の狙い通りかもしれません。

 今回の大統領選挙は、共和党保守本流の票が、バイデン氏に流れるのかに注目です。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る