海野素央の Love Trumps Hate

2020年6月22日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「民主党副大統領候補の長所と短所」です。米国人男性の平均寿命は78.54 歳(2017年)です。民主党大統領候補を確実にしたジョー・バイデン前副大統領は、すでに77歳と7カ月です。大統領就任時は、78歳になっています。仮に大統領に就任しても、バイデン氏は1期で終わる可能性が高いといえます。

 ということは、バイデン氏の副大統領候補は24年米大統領選挙の本命になる公算があります。そこで、本稿では民主党副大統領候補の長所と短所に焦点を当てます。

17日、ペンシルベニア州で中小企業経営者と懇談したバイデン氏(AP/AFLO)

バイデンは何を補うのか?

 16年米大統領選挙において、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン元国務長官は、南部バージニア州のティム・ケイン上院議員を副大統領候補に選びました。激戦州であるバージニア州が勝敗の鍵を分けると判断したからでしょう。この読みは外れました。

 勝敗を左右したのは、中西部ミシガン州、ウィスコンシン州及び東部ペンシルべニア州でした。クリントン氏は激戦州を基準に副大統領候補を選択したのです。

 一方、ドナルド・トランプ大統領は中西部インディアナ州マイク・ペンス知事(当時)を副大統領候補にしました。その主たる理由は、キリスト教福音派の票の獲得です。信仰心が薄いとみられているトランプ大統領は、福音派のペンス氏を指名して、自分の弱点を補いました。

 ちなみに、08年米大統領選挙でバラク・オバマ前大統領は外交・軍事問題における経験不足を補うために、バイデン氏を副大統領候補に選択しました。

 では、バイデン前副大統領は何を補う必要があるのでしょうか。一言で言えば、陣営に欠けている「熱意(enthusiasm)」です。トランプ大統領は6月20日、自身のツイッターに「ジョー・バイデンの集会。熱意ゼロ!」と投稿しました。

 バイデン氏には黒人差別問題で盛り上がっている抗議活動家の熱意が不可欠です。女性票獲得を狙い、女性を副大統領に指名すると宣言しました。そこで黒人女性候補を選択すれば、11月3日の投票日まで人種問題を主要な争点にして、抗議デモの勢い(momentum)を持続できるという大きなメリットが生じます。

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