元大統領補佐官と「ワイルドカード」
オバマ政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)であったスーザン・ライス氏(55)も、副大統領候補に名前が挙がっていると言われています。黒人女性のライス氏は、現在アメリカン大学(ワシントンDC)の上級研究員です。
ハリス上院議員及びデミングス下院議員と比較すると、ライス氏はバイデン前副大統領と近い関係にあります。ただし、ホワイトハウスを離れてから同氏に対する注目度が下がり、米メディアの露出度が減っています。
上の3人に加えて、南部ジョージア州アトランタのケイシャ・ランス・ボトムズ市長(50)と、同州の元州議会議員ステイシー・エイブラムズ氏(46)も、バイデン陣営の副大統領候補のリストに挙がっていると言われています。2人とも黒人女性です。
ボトムズ市長は新型コロナウイルス感染拡大の中で、早期の経済再開を主張するジョージア州ブライアン・ケンプ知事及びトランプ大統領に反対しました。その後、アトランタで黒人男性が白人警察官に射殺された事件がきっかけになって、同市長に対する注目度はさらに高まりました。
一方、エイブラムズ氏は南部ジョージア州における18年知事選に立候補し、共和党のケンプ知事にわずか1.4ポイント差で敗れました。ジョージア州は共和党が強い州なので、エイブラムズ氏の大健闘は全国的な注目を集めました。
ただ、2人はあくまでも副大統領候補の「ワイルドカード」です。ハリス上院議員、デミングス下院議員及びライス氏と比べ、キャリアにおいて見劣りがすることは否定できません。しかも、ジョージア州は潜在的な激戦州であり、フロリダ州と比較すれば、重要度は下がります。仮にバイデン氏がボトムズ市長ないしエイブラムズ氏のどちらかの黒人女性を副大統領候補に選択したらサプライズです。
バイデン氏の副大統領候補発表までに1カ月以上あるので、流動的であることは事実です。しかし現段階では、ハリス上院議員が最有力候補で、デミングス下院議員及びライス氏が2番手ないし3番手といえそうです。今後、3人の中でスキャンダルが発覚したり、失言をした候補が脱落していくでしょう。
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