2024年12月2日(月)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年6月22日

トランプ陣営のハリスへの人種攻撃

 ハリス氏は西部カリフォルニア州選出の上院議員です。同州は民主党が圧倒的に強い「ブルー・ステート(青色の州)」なので、選挙人を上乗せすることは期待できません。これは短所であるかもしれません。

 仮にバイデン前副大統領がハリス上院議員を副大統領候補に選択した場合、トランプ陣営は人種・民族を使った攻撃を本格的に仕掛けてくるでしょう。トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏は民主党予備選挙の際中、他者の「彼女(ハリス)は黒人として物足りない」という投稿を、自分のツイッターで共有しました。

 ジュニア氏はハリス上院議員がジャマイカ系とインド系の子供なので、祖先は奴隷船でアフリカから米国に渡ったのではないと言いたいのです。つまり、「ハリスは本物の黒人ではない」というメッセージを発信しました。これに対して、ハリス氏は「私は黒人だ」と反論しています。

 肌の色など生得的なものを基準に判断するのは人種差別です。上の投稿内容は人種差別であると非難されたため、ジュニア氏は即座に削除しました。

 ただし、ハリス上院議員が民主党の副大統領候補に指名されれば、トランプ陣営は人種を使い、アフリカを祖国とする有権者をけん制して、バイデン・ハリス両氏への投票を思いとどまらせる戦略に出る可能性があります。

 仮にそれが現実になった場合、ハリス氏への人種攻撃は逆に、黒人差別反対の抗議活動家の熱意を一層高め、バイデン陣営にプラスに働くかもしれません。


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