2024年12月8日(日)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年6月22日

バイデンとの調整

 まず、副大統領候補の最有力候補として名前が挙がっているのが、カマラ・ハリス上院議員(55)です。ハリス氏は初の女性でしかも黒人のサンフランシスコ地方検事(04~11年)でした。その後、カリフォルニア州司法長官(11~16年)を務めました。父親はジャマイカ出身の経済学者、母親はインド系の医者です(『ラスベガスで見た民主党候補の弱さと、トランプの強さ』『トランプと戦うのは誰だ?早くも始まった20年大統領選挙』参照)。

 米国では中西部ミネソタ州ミネアポリスで白人警察官による黒人男性暴行事件が発生し、それが発端になって抗議活動家を中心に警察改革及び予算打ち切りの声が高まっています。これに関して、ハリス上院議員は容疑者を逮捕する際、警察官が首を絞めつける行為の禁止を支持しています。この点はバイデン氏と一致しています。

 しかし、警察予算打ち切りについてバイデン氏が反対表明をしているのに対して、ハリス上院議員は予算削減に賛成し、明確な回答を避けています。警察予算打ち切りと解体を要求する急進左派に配慮しているのかもしれません。もしバイデン氏がハリス氏を副大統領候補に選択した場合、両氏の間で警察予算打ち切りに関して調整が必要になってくるでしょう。

「討論会のスキル」と「鼓舞する能力」

 ハリス上院議員は、民主党大統領候補指名争いでバイデン前副大統領と戦いました。1回目のテレビ討論会で、バイデン氏が1970年代に実施された人種差別撤廃のための「強制バス通学」制度に反対したと痛烈に非難し、支持率を伸ばしました。その後はやや精彩に欠けたものの、テレビ討論会のスキルを備えていることは間違いありません。

 加えて、ハリス上院議員には支持者を鼓舞できる能力があります。筆者は19年8月3日、西部ネバダ州ラスベガスで開催された支持者を集めたハリス氏の集会に参加しました。20年3月9日に中西部ミシガン州デトロイトで行われたバイデン前副大統領の集会にハリス氏が応援に駆け付けたときも、会場で同氏を観察しました。

 率直に言って、ハリス上院議員はバイデン前副大統領よりも支持者を活気づける能力に富んでいます。これもハリス氏の長所といってもよいでしょう。


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