極端な主義団体が国の混乱を煽っていた
これに対し怒りをあらわにしているのが白人至上主義者だ。上記の首吊では輪縄という結び方が使われていたが、この輪縄(Noose)は黒人へのリンチと同義語だった。ジョージ・フロイド氏が膝で首を圧迫されて殺害されたことに対し「膝は新しい輪縄だ」というプラカードを掲げる白人至上主義者が現れた。KKK(クー・クルックス・クラン)の扮装をして抗議デモに車で突っ込んだ者もいた。
トランプ大統領は暴動を扇動したのは極左主義者のアンティーファだ、と糾弾したが、米国内には白人至上主義団体によるアクセレレーショニズム(混乱を引き起こし自らの主義を推進しようとする考え方)も一部の暴動に関わっていた、との見方もある。つまり左右の極端な主義団体が国の混乱を煽っていた、ということになる。
極右と極左、黒人を含む有色人種と白人、という2つの対立構造が明確になりつつある。ここで問題なのは、極右と白人にはトランプ大統領、という掲げる対象がいるが、極左と有色人種には象徴的な人物がいない、という点だ。黒人の支持率が高いと言われるバイデン氏だが、政治的立場は中道でありヒスパニックにも人気がない。つまり対立軸としては弱い存在だ、という点だ。この分断の深さが今年の大統領選挙にどう影響するのか、今後も注視が必要だ。
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