製品は6月からスイス国内への出荷を始めた。製造はすべてスイス国内の企業に外注し、開発と販売に特化する。システム全体で6500スイスフラン(約53万円)、センサー単独で2500スイスフラン(約20万円)。来年度以降、欧州全域での販売を目指す。
人口が増えるスイスと
減り続ける日本
スイスといえば金融である。「人口高齢化は重要な投資テーマだ」とBZバンク創業者のマルチン・エブナー氏は言う。エブナー氏はかつてスイス銀行大手のUBSやエンジニアリング大手のABBなどの大株主として経営改革を迫る「アクティビスト」として知られた著名な投資家だ。エブナー氏は製薬大手ロシュの大株主としても知られるなど、早くから製薬、医療関連といった高齢化銘柄に投資してきた。最近ではバイオテクノロジー関連の未上場企業に資金を投じているという。
高齢化をどうチャンスに変えるか、それを日本に学ぼうというスイス。高齢化先進国として日本は成功事例を世界に示していくことが重要だろう。
だが一方で、高齢化をチャンスに変えるには、これまで前提としてきた社会システムや常識を大幅に見直すことが必要になる。
スイスの保険大手ヘルベチア・グループのエリッヒ・ワルサー会長はシンポジウムで、「両国は高齢化で似ているが、決定的に違うのはスイスの人口は増えていること。日本のように人口が減る社会では、保険業界は生きていくことが難しい」と指摘していた。
スイスは移民先進国で、人口(居住者)の25%が外国人だ。国内には移民に対する根強い抵抗感がある一方で、移民なしに年金制度など社会システムを維持することは不可能という共通認識もある。日本は高齢化を克服すると同時に、この人口減少に取り組まなければならない。さて、そこでどんな解を示すのか。世界は注目している。
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