あまりに過酷な運命
23歳の若者にとって、あまりに過酷な運命である。なぜなら、今回、周庭さんにかけられた容疑だと伝えられる国家安全維持法の「外国または域外勢力との共謀で国家安全を脅かす罪」だと見られているだからだ。同法によれば、もし有罪判決が出た場合は、3年以上10年以下の懲役刑が科せられ、「重大な犯罪」と認められた場合は、終身刑または10年以上の懲役刑を宣告されるという重い刑罰になっている。
現在、周庭さんは、別の事件(未許可のデモに参加したなどの疑い)で起訴され、有罪が確定しており、具体的な量刑判決を待っている。日本などへ講演などで訪問する計画もあったが、裁判中であることを理由に出国ができなかった。今回、旅券が取り上げられたため、さらに彼女は香港で厳しい運命に直面しなければならない。
日本が好きで、裁判が終わったら早く日本に行きたい、日本のスイーツも食べたい、日本のカラオケにも行きたいと話していた周庭さんだが、今回の国家安全維持法違反容疑での逮捕でその期待はさらに遠ざかった。今年7月の同法導入以来、相次ぐ逮捕や選挙の延期など想像を超えた事態に直面している香港について、我々日本人がどのように受け止めるのかが問われる局面になっていることを周庭さんの逮捕は問いかけており、中国との間に「不協和音」が響くことを恐れている場合ではない。
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