趣里の「大人の女性役」、瀬戸とのやり取りも魅力
そんな姉を心配する、家事代行業者に勤務する妹の福田唯(趣里)が、ベテラン家政婦の鴫野(大森)を紹介したことから物語は始まる。水谷豊を父に、伊藤蘭を母に持つ、芸能一家の趣里にとっても、今回のドラマは「娘役から大人の女性役」にステップアップできるかどうかの試金石である。いまや日本を代表する女性監督である、山戸結希の「おとぎ話みたい」(2013年)のダンサーを目指す高校生役で注目を集めた。
唯(趣里)は、大学を中退して家を出て母親の相原美登里(草刈民代)の反対を押し切って、結婚し幼い娘がいる。両親は結婚式にも参列しないままに、3年以上も音信不通の状態である。
メイは、父の茂(光石研)の還暦祝いをきっかけにして、唯(趣里)と母親の美登里(草刈)の仲直りさせようとする。
家政婦のナギサに料理を手伝ってもらって、自宅のパーティでサプライズを計画する。唯はナギサの助手ということで、サングラスとマスクで変装して乗り込む。用意したのは、家族の思い出の料理の数々と、メイが会社の後輩に作らせたプライベート映像だった。
最後の料理は、ハンバーグだった。母親の美登里は料理がへたで、メイと唯のふたりは勝手に味付けをして食べていた。それが相原家のハンバーグとなったのである。
美登里は、最初から変装した唯に気づいていた。「ふたりが勝手に味付けたハンバーグがおいしかったのよね。もう一生食べられないかと思ってた」と涙ぐむ。
ナギサに料理にまだ余裕があるかどうかを確認すると、美登里は唯の夫と娘を呼び寄せるように言うのだった。
家政婦ナギサとは何者か。ナギサからもらった履歴書をみて、メイは驚く。サラリーマン時代のナギサは、製薬業界第1位でメイが就活で落ちた、ソルマーレ製薬の社員でしかもMRだったのである。
メイの恋模様に、ライバル会社のアーノルド製薬のMRである田所優太(瀬戸康史)がからむ。いまや娘役ではトップクラスの清原果邪が看護婦見習として勤務するドラマ「透明なゆりかご」(NHK、2018年)で、産婦人科の医院長役として清冽なイメージを獲得した、瀬戸と多部のやり取りもまた、ドラマの魅力である。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。