2022年8月18日(木)

Washington Files

2020年8月24日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 これに対し、ホワイトハウスは去る10日、報告書内容に反論する「ファクト・シート」を早速発表、①大統領は中国からの旅行制限をいち早く打ち出した②世界でも有数のコロナウイルス検査システムを構築した③感染クラスター発生地域にはその都度、必要な医療器具を提供した④国民の職場復帰の道を切り開いた―などの点を列記した。しかし、いずれの点も、具体的裏付けを欠いていることは明らかであり、マスメディアの多くも冷ややかに受け止めている。

 いずれにしても、11月3日の投票日が刻々と迫る中、ホワイトハウスが下院報告書に「トランプ大統領名」でいち早く反論したこと自体、コロナ危機をきっかけに有権者の離反がこれ以上、広がることにいかに神経をとがらせているかを示したものだ。

TVコマーシャルをめぐる論争

 一方、コロナ対応についての両陣営の攻防は、TVコマーシャルをめぐる論争にまで発展している。

 民主党側の大口政治献金団体で知られる「Priorities USA Action」はこのほど、トランプ大統領とバイデン候補のコロナ対応の違いを浮き彫りにしたTVコマーシャルを発注、前回に続き今回大統領選でも勝敗を決するカギとなるペンシルバニア、ミシガン、ウイスコンシン、フロリダの4つの接戦州で流し始めた。

 コンテンツは2パーツからなり、前半ではトランプ氏が「コロナパンデミックはでっち上げ」「中国人1人が細菌を持ち込んだが、われわれはすべてをコントロール下に置いている」「感染者が15人出ているが、数日間でゼロになる」などと実際に語った時の画像とともに、同一画面上で、猛烈な勢いで増え続ける感染者の数字を連続的に示したもので、最後は「自分は何ら責任をとらない」と大統領が記者団の質問に答えたシーンで終わっている。

 そして後半部分では、バイデン候補が登場「これだけは皆さんにお約束する:私が大統領になったら、より良い準備とより良い対応策をとり、しかも科学に基づいた善後策を講じる」などとする発言シーンをちりばめており、両者のコントラストぶりを浮き立たせる効果的なものとなっている。

 これに対し、トランプ再選委員会側はただちに、「内容は事実を歪曲しており、虚偽、欺瞞に満ちている」として、当該4州の各地方TV局に「放映一時差し止め」請求を行った。

 しかし結果的に、同コマーシャルはその後も、引き続き放映された。

 このほか、民主党全国委員会(DNC)ウイスコンシン支部では、本来、コロナ感染の全国的拡大がなければ、今年の民主党全国大会は同州ミルウォーキーで5万人以上の代議員、報道陣を全米から集めて大々的に開催され、州経済の景気浮揚にも大きな効果をもたらしたはずだとして、「結果的にオンラインによるバーチャル集会に終わり、多大な経済的損失につながった最終的責任は無為無策に終始したトランプ政権にある」との主張を展開している。同支部では今後、こうした庶民受けするわかりやすいメッセージを州全体の有権者向けにアピールしていくことにしているという。

 なお、ニューヨーク・タイムズ紙集計によると、8月21日現在のアメリカにおけるコロナウイルス感染者総数は563万3400人以上、死者最低17万5000人超に達しており、8月20日1日だけの感染者も4万9000人超となった。「世界最悪状態」は依然続いており、早期収束のめどは立っていない。

  
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