2022年8月18日(木)

田部康喜のTV読本

2020年8月29日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

大旦那と椿が壮絶なバトル

 第2話(8月19日)に至って、「光月庵」の複雑な人間関係が徐々に明らかになっていく。経営の実権を握って離さない、高月宗寿郎(佐野史郎)は孫の椿(横浜)に店は決して譲らない、という。

 「おまえが実の孫ではないからだ。不倫によってできた子どもで、息子の本当の子どもではない」と。

 店に乗り込んできた、七桜を財産目当てだと、宗寿郎は最初は疑う。

 「月光庵には、かつてふたりの女が入り込んだ。ひとりはそこにいる女狐だ」と、椿の母である今日子(観月ありさ)を指さす。「そして、もうひとりは、菓子職人として入り込んで、私の息子を殺した。お前は私の大事なものの何を奪おうとするのか」と、七桜に問う。

 「しかも、椿はこの店を継がせない。なんのために結婚なぞするんだ」

 七桜は答える。

 「大旦那様以上に、椿さんはこの店を愛しています」と。

 別々の部屋に寝起きしていた、椿と七桜はこの夜から、同じ部屋に暮らすことになる。

 床を並べて、椿が語り始める。

 「昔、この家に、桜という女の子がいて、一緒にお菓子を作った。この暗い家で唯一の明かりだった」

 その女の子が、七桜であることを椿は知らない。

 「君にあって、この人が俺の隣にいたらなにかがかわるのじゃあないかと思ったんだ。なんであんたは初めて会った男の求婚を受けたんだ」

 七桜はただ、愛おしそうに椿の背中から抱きしめた。女優・浜辺美波にとっては初めての狂おしいラブシーンとなる。(世界で一番憎いはずなのに。大嫌いなはずなのに)と、七桜はこころのなかで叫ぶ。

 女優陣の共演が魅せる。大ヒット映画「愛がなんだ」(今泉力哉監督・2019年)のヒロイン・岸井ゆきの、映画・ドラマのわき役にいまや欠かせない、七桜の母親・百合子役の中村ゆり。筆者は中村が日本生命のCMで演じている、小学生の男の子をかかえた母親の笑顔がいつも胸にしみる。

  
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