2023年1月28日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年9月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「3+1」(スリー・プラス・ワン)のフォーメーション

 次に、バイデン前副大統領の「勝利のシナリオ」をみてみます。どのようにしてトランプ大統領の獲得選挙人「306」を、270以下に減らすのかがバイデン氏の課題になっています。

 以前紹介しましたが、バイデン氏の終盤戦の選挙戦略を読み解く鍵は、「3+1」のフォーメーションです。「3」は激戦州のミシガン州、ウィスコンシン州及びペンシルべニア州を指します。

 前回の選挙でミシガン州は大接戦でした。トランプ大統領がヒラリー・クリントン元国務長官に僅か1ポイント差で勝利を収めたのです。得票数をみると、約1万票差でした。

 一方、ウイスコンシン州及びペンシルべニア州は0・7ポイント差でした。こちらは約2万3000票差と約4万4000票差でトランプ氏が勝ちました。

 つまり、トランプ大統領は3州において約7万7000票の差で、選挙人の合計「46」を獲得したのです。仮にトランプ氏がこの3州を落としたとします。4年前のトランプ氏の獲得選挙人から46を引くと260になり、当選に必要な270を割ります(「306-46=260」)。

 「1」 はフロリダ州を指します。バイデン前副大統領はペンシルべニア州ないしミシガン州とウィスコンシン州の2州を落としても、選挙人「29」のフロリダ州で補う戦略をとっています。バイデン氏には「3+1」を組み合わせた多角的戦略をとることができるというアドバンテージがあります。

 これに対して、トランプ大統領にはペンシルべニア州、フロリダ州及びアリゾナ州における勝利が絶対条件です。トランプ氏はディフェンスに回っています。

 バイデン前副大統領がミシガン州、ウィスコンシン州及びペンシルべニア州の3州をトランプ氏から奪還すると勝利する可能性が高いでしょう。

 バイデン氏は昨年5月、ペンシルべニア州フィラデルフィアで民主党大統領候補出馬宣言を行いました。選対本部もフィラデルフィアに置きました。トランプ・バイデン両氏はペンシルべニア州を今回の大統領選挙の勝敗を分ける州と位置づけているフシがあります。

 仮にそうであるならば、20年米大統領選挙は、「ペンシルべニア州を制する者が大統領選挙を制する」ことになります。

  
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