2022年12月5日(月)

WEDGE REPORT

2020年10月7日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

「君はケネディでははない!」

 その4年前、ブッシュ氏とデュカキス・マサチューセッツ州知事(民主党)の新人同士の一騎打ち。

 デュカキス氏は緊張感などみじんも感じさせなかった沈着ぶりを称賛されたが、「自分の妻がレイプされ、殺されても犯人を死刑にしたくないか」と意地の悪い質問を浴びせられても、全く表情を変えることなく「ほかに処罰の方法はある」ー。あまりに落ち着き払った態度が、かえって人間味に欠けるとの印象を与え、失速してしまった。

 トランプ氏ほどマナーの悪さではないが、やはり相手を見下すような態度で失敗したのが2000年の選挙でのアル・ゴア副大統領(民主党)。

 共和党のブッシュ・テキサス州知事(子)との論戦で、相手が発言するたびに、聞こえよがしに大きなため息をついて嘆くしぐさを何度もみせた。自分の方が知識、経験があることをひけらかすような態度に映り、多くの票を失った。

 11月の投開票では、一般投票では上回ったものの選挙人数ではブッシュ氏がリード。法廷闘争にまでもつれ込んだ末、ゴア氏が法廷闘争を断念、ホワイトハウスへの道は絶たれた。ゴア氏は、この時の選挙で、地元テネシーで選挙人を獲得できなかった。

 いまひとつ忘れられないのは、88年選挙の副大統領候補討論だ。

 ケネディばりの甘いマスク、俳優のロバート・レッドフォード似ともいわれて人気のあった共和党のダン・クエール上院議員に対する民主党のロイド・ベンツェン上院議員、「私はケネディの友達だった。彼は素晴らしい政治家だった。君はケネディなんかじゃない」と言い捨てた。その時のクエール氏の悔しそうな表情ははた目にも気の毒なほどだった。

日本とは文化が違う?

 これら過去のドラマは、長く人々の記憶にとどめられるものではあるが、今回のトランプVSバイデンのように後味の悪さはなかった。

 候補者個人の資質の問題か、それとも、論争では容赦なく相手を攻撃することを躊躇しない国民性なのか、判然としないが、人前で相手の欠点、弱点をあげつらうことを潔しとしない日本人の感覚を超える。

 9月に行われた自民党総裁選、野党新党代表選での候補者討論、日本記者クラブでの共同記者会見では、それぞれが相手に敬意を払い、批判の応酬はあったものの、整然と進行したことを考えればよく理解できよう。

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