2022年12月10日(土)

WEDGE REPORT

2020年10月20日

»著者プロフィール
著者
閉じる

キース・クラック Keith Krach

米国務省国務次官:経済成長・エネルギー・環境担当

1979年米パデュー大学を卒業(学士・工学)、81年ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。26歳のときにゼネラル・モーターズ(GM)の最年少副社長。96年~2003年Ariba会長兼CEO、09年~19年DocuSignのCEO兼会長などを務め、19年6月より現職。
 

 また、一方通行の中国の「グレート・ファイアーウォール」が展開されているためでもある。この大規模な情報検閲システムは、中国共産党が活用するデータを通過させるが、真実が国内へ入ってくることはなく、また国外へ出ていくのはプロパガンダだけだ。

 ファーウェイは、中国共産党の悪質な活動を行うためのツールとなっている。その他のテクノロジー企業は同じ機能を持つシステムの一部をなしており、個別に、もしくはシステムの一部に統合されて役割を果たしている。

 民主的なチェック・アンド・バランス機能がなく、人権やプライバシー、国際規範を尊重しない権威主義政府によって操作、妨害、支配されうるネットワークの危険性について、米国は非常に懸念している。

 米国の安全保障上の懸念は、単に産業スパイ、政治スパイだけにはとどまらない。ファーウェイやZTEといった、信用できない、ハイリスク事業者のおかげで、中国共産党が指揮する権威主義政府は、重要アプリとインフラを破壊あるいは武器化する、もしくは人民解放軍のテクノロジー分野を進歩させる能力と機会を得ている。

 米国は昨今、ファーウェイが米国及び日本をはじめとする同盟国やパートナー国に対して、その技術をますます簡単には利用できないようにしている。その第一歩として、2020年4月、ポンペオ米国務長官は「5Gクリーン・パス」を宣言した。これにより国務省は、米国の外交施設が入手または保管するいかなる情報も、信用できる機器を介して受け取ることを義務付け、ファーウェイやZTEの機器を介することは一切認めないとした。

── 中国の5G技術について、米国はどのような懸念を抱いているのか。

 5Gはデータへのアクセスと管理の手法を変革することになる。5Gでは、それ以前の世代とは異なり、機密情報がネットワーク中で保存され、解析される。つまり、ファーウェイ、ZTE、その他の信用できない事業者に5Gネットワークのいかなる部分もコントロールさせるのは安全でないということだ。信用できない事業者が、ソフトウェア・アップデートやパッチを提供することで、悪質なコードが埋め込まれたり、データが抜き取られたりする可能性がある。

5Gが広がると、情報はネットワーク中に保存され、解析されるようになる (VCG/GETTYIMAGES)

 ファーウェイは中国共産党軍事当局とつながっており、共産党のスパイ活動に関与し、他国の競合相手から知的財産を盗んできた。そして、世界中でその腐敗した慣習が咎められている。ファーウェイとZTEは、世界有数の大手市場である、中国国内市場への参入において優遇されており、電気通信産業分野での公正な競争が妨げられている。同時に、中国以外の競合相手の知的財産を盗用して利益を得ている。

 ファーウェイをはじめ、中国の大手企業の多くは、中国共産党が活用し、また他国へ輸出する監視テクノロジーを開発することで、強制労働を含む人権侵害を助長している。だからこそ、そうした企業が排除され影響を及ぼさない、「クリーンな」サプライチェーンを維持することが重要だ。

新着記事

»もっと見る