墓穴を掘ったトランプ
武装集団によるホイットマー知事誘拐未遂事件が明らかになりましたが、トランプ大統領は集団を糾弾しませんでした。同様に、新型コロナウイルス感染から回復した共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長も集団を批判しませんでした。
それどころかマクダニエル委員長は、ホイットマー知事の都市閉鎖を非難し、学校再開を要求したのです。同知事が誘拐未遂事件に遭遇したのは自業自得であると言わんばかりでした。
トランプ大統領は期日前投票ないし投票日当日に親トランプ派の武装集団と、反トランプ派の極左集団が衝突を起こし、混乱するシナリオを描いているフシがあります。トランプ氏は「極左が選挙妨害をしたので、トランプ支持者が投票ができなかった」と訴え、法廷闘争に持ち込み、場外で勝利する戦略に出る可能性があります。
そうはいっても、武装集団による選挙監視及びホイットマー知事誘拐未遂事件により、女性票のトランプ離れが顕著になってきました。共同世論調査では、無党派層の約7割がバイデン氏を支持すると回答しました。加えて、63%の小都市及び郊外に住む女性がバイデン氏を支持すると答え、トランプ氏を17ポイントも引き離しました。「武装集団のカード」を切ったトランプ大統領は墓穴を掘り、激戦6州での勝利を自ら困難にしてしまったといえそうです。
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