2022年8月14日(日)

WEDGE REPORT

2020年10月30日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 菅首相は実は、9月14日、自民党総裁に選出された際の記者会見でもおやと思う発言をしている。4島の帰属問題の持論について聞かれ、「以前から言っているように、4島の帰属問題を解決して交渉を進めるということだ」と答えたのがそれだ。

 組閣や衆院の解散・総選挙に関するやりとりに関心が集まり、この発言がメディアで大きく報じられることはなかったが、「4島の帰属」と明確に述べたことは、前政権の2島返還に決別、方針の再転換を示唆したとも理解できる発言だった。まさか、「4島の帰属」という意味は「2島は引き渡し、他の2島は共同経済活動」などという詭弁は弄すまいが。

 筆者は翌17日、当サイトでそのことを指摘、首相は安倍内閣の「2島返還」から「4島返還」に立ち返ることをひそかに目論んでいるのではないかーとの記事を書き、(「4島返還」に立ち返るチャンスだ!新政権は蛮勇ふるい政策変更を)アップされた。

不可解な首相発言の真意

 菅首相は官房長官時代、記者会見などで、よく「いずれにしろ」という言葉を使った。その口癖を借りていうならば、いずれにしろ、29日の国会答弁で、首相に政策転換の意図がないことがはっきりした

 が、それにしても気になるのは、首相はなぜ、9月14日の総裁就任会見で「4島の帰属問題を解決して交渉に臨む」と述べたのか。

 所信表明から、「56年宣言を基礎とする」という表現を削除したのも、どういう意図があってのことだろう。

  総裁選直後で準備不足だったとか、硬くなっていたからなどと説明がなされるかもしれないが、首相は7年8カ月も続いた第2次安倍内閣で、大番頭の官房長官をつとめてきたのだから、2島返還への方針転換は熟知してたはずであり、硬くなるほど初心な政治家でもあるまい。

 施政方針演説をとってみても、就任から一カ月以上たっているのだから、完全な形に仕上がっていたはずだ。

 政治家、特に内閣総理大臣の胸の内など、余人の推測など及ばぬというべきだろう。

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