2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2021年1月11日

菅野独特の個性

 現時点で本当に菅野自身が是が非でもメジャーに行きたいのであれば、たとえ交渉相手の球団が提示した条件等に「100%満足できるような形」にならなかったとしても今オフ、ポスティングを成立させて移籍を実現させていたように思う。それが成し得なかった今、菅野には世間の多くから「とどのつまり、カネなのか」という厳しい目も向けられている。「メジャーに行く決意ができていなかったのならば、最初からポスティングなんてわざわざ申請する必要はなかったのではないか」と首をかしげる球界関係者も1人や2人ではない。

 もし今オフ、移籍を決めていれば、ポスティング成立の譲渡金によって巨人側に多少の恩返しもできていたはず。しかし、それも〝反故〟とした上で来オフに今度はFA権行使によって球団にビタ一文も入らない状況となる中でも、再び夢を追う可能性があることを菅野本人は示唆している。こうした諸々の流れから「男を下げた」とバッシングも向けられているが、おそらく当人は柳に風であろう。

 ポスティング申請しながらもMLBではなく巨人への残留をチョイスするあたりには世間の反応は一切気にせず、中途半端な気持ちで己の信念を曲げたくないという菅野独特の個性を感じ取ることもできる。100%満足できる形でなければ行かない――その姿勢は思い起こせば、2011年に日本ハムからのドラフト1位指名を拒否し、世間から批判されても1年流人してまで巨人入りを貫いた「自在不羈(じざいふき)」の生き方が垣間見える。 

 いずれにせよ2021年、巨人のエース・菅野にはシーズン、そしてオフと厳しい戦いが予想される。どうやって乗り越えていくのか。自らが選択した道のりの行く末に注目が集まる。

  
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