琵琶湖の南に位置する古刹、石山寺(いしやまでら)。紫式部はこの寺で7日間の参籠(さんろう)の間に『源氏物語』の着想を得たといわれ、本堂の一角に式部ゆかりの“源氏の間”がある。この秋、滋賀県立近代美術館で、石山寺の創建史や霊験譚などを詞書(ことばがき)と絵で記した『石山寺縁起絵巻』全巻を公開する、初の試みの展覧会が開かれる。
石山寺所蔵
重要文化財に指定されている石山寺縁起絵巻は全7巻。制作年代は鎌倉時代から江戸時代にわたり、石山寺の開基、良弁(ろうべん)僧正による創建の様子をはじめ、紫式部が物語を思いつく場面、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が参詣の際に逢坂の関を通過する場面など、33話のエピソードが描かれ、美術品としてだけでなく、当時の風俗や生活の一端を伝える貴重な資料となっている。
会場では絵巻のほかに模写本や断簡、草稿、関連の仏像や聖教(しょうぎょう)(経典)など40件を展示する。また、石山寺でも11月30日まで、所蔵する源氏絵などを紹介する「秋季 石山寺と紫式部展 石山寺の宝物─絵画の華麗・筆跡の典雅」を開催しており、石山寺や紫式部について知識を深める格好の機会となる。
石山寺縁起絵巻の全貌 ~重要文化財七巻一挙大公開~
<開催日>2012年10月6日~11月25日
*10月16~28日は各巻の後半が江戸時代の模写本、10月30日~11月11日は各巻の前半が江戸時代の模写本での展示
<会場>滋賀県大津市・滋賀県立近代美術館(琵琶湖線瀬田駅からバス)
<問>077(543)2111
http://www.shiga-kinbi.jp/?p=16173
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