Washington Files

2021年2月1日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

経済界も離反

 しかし、社会からしっぺ返しを受けたのは、トランプ氏だけではない。経済界では、共和党が大統領選の結果を開票後数週間も認めず「大規模不正があった」と根拠のない主張をくりかえしてきたことが、結果的に議事堂惨事につながったとして、今後、共和党への政治献金を打ち切る動きが目立っている。

 特にJPMorgan Chase銀行、Charles Schwab証券会社、AT&T、Walmart、Disney、Amazon、Marriotといった各界を代表する大手企業は、去る1月5日、米議会が行った選挙結果の最終承認に応じなかった下院のケビン・マッカーシー院内総務ら137人、上院のテッド・クルス氏ら10人の共和党議員らを特定し、政治献金を一切停止することを相次いで発表した。

 こうした動きについて、グローバル・コーポレート・コミュニケーション会社を経営するリチャード・エーデルマン氏はニューヨーク・タイムズ紙に対し「これはたんに、トランプとの関係だけにとどまらず、経済界による共和党への縁切りの始まりを意味している。今日、アメリカで起こりつつあることは決して黙視できるものではなく、経営者たちは事件当事者にその責任の所在を明確にすることを期待している」と論評している。

 共和党は先の大統領選、議会選挙での敗北を受け、当面の戦略として、来年11月中間選挙での巻き返しを狙っている。とくに、両党議席が50対50で互角となり民主党の多数支配を許した上院において、次回は数議席だけでも増やし主導権奪回が至上課題だ。

 歴史的に見て中間選挙では、政権党が議席減となる傾向がある。しかし、2022年の場合は野党共和党にとって楽観を許さない。上院での改選議員は民主党が14人に対し、共和党は20人を擁している上、両党間での大接戦が予想される州の数は、共和党6州、民主党3州と見られていることも一因だ。

 そこに加え、共和党員の離脱の動きが今後各州でさらに加速していくことになれば、期待した中間選挙での議席増どころか、逆に議席を減らすことにもなりかねない。

 民主党にホワイトハウスと上下両院をそっくり明け渡すことになった共和党としては、なんとかバイデン新政権が今後、内政、外交で失点を重ね、来年に向け祈る気持ちで自陣に有利な国内ムードを作り出したい心境だろう。

  
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