2024年4月24日(水)

World Energy Watch

2021年3月13日

破綻する電力事業者

 米国の大半の州では電力共同組合による供給も行われている。多くの組合は発電設備も保有し事業に出資している組合員に小売りで電力を供給する。資金に余剰が生じた場合には組合員に還元されるので、会社組織の事業者から電気を購入するよりも安くなると一般的には考えられている。

 テキサス州にもいくつかの組合があるが、ERCOT管轄地域で電力供給を行っていたテキサス州最大、最古、傘下に16の小売り共同組合を持つブラゾス電力共同組合が、3月1日チャプター11を申請した。コロナ禍でも順調な経営を続け、破綻直前までフィッチの格付けではA+とされていたが、2月の市場価格高騰により、ERCOTから電力購入代金21億ドルを数日以内に支払うことを求められた。不可抗力条項の適用を申し立てたが認められなかったため、更生法の申請に踏み切ったものだ。

 ブラゾスは、石炭火力94万kW、天然ガス火力208万kWの設備を保有し、さらに相対契約で水力、太陽光などの電力購入も行っていたが、不足分を卸市場で購入していた。寒波により保有する設備と契約先からの供給に支障が生じ、卸市場からの購入量が増えたようだ。裁判所に提出された組合副理事長による供述書では、破綻に至った経緯と共に、市場価格高騰の背景が説明されている。


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