2024年12月22日(日)

ザ・移動革命

2021年3月25日

 バイデン新大統領へと政権交代したアメリカがパリ協定に復帰するなどカーボンニュートラルに向けた活動が活発になっている。ここ数年はCASE(コネクティビティ=接続、オートノマス=自動、シェアリング=共有、エレクトリック=電気)の中でも自動運転やシェアリングが主役だったが、コロナの影響もあってシェアリングが苦戦する一方で新たなEV(電気自動車)ブームに入りつつあると感じる。過去のEVブームではGMや日系メーカーなど大手自動車メーカーが中心となってきたが、現在のEVブームの牽引車は新興メーカーだ。

(y_carfan/gettyimages)

 その筆頭となっているのがTeslaだ。過去に何度も苦境に陥ってきた同社だが、モデル3の量産化に成功し、昨年1月から現地生産を始めた中国版モデル3の販売が好調で中国のEV市場において同社は13%の市場シェアを獲得している。

 太陽光発電、家庭用バッテリー、公共充電サービスなどエネルギーサービスやEV周辺事業にも拡大を続けているTeslaがモビリティサービスの分野で推し進めているのが自動運転だ。

Autopilot Full Self-Driving Hardware (Neighborhood Short) from Tesla on Vimeo.
完全自動運転対応の機能提供を目指しているTesla(出典:Tesla HPより)

 TeslaのマスクCEOは2019年の段階で2020年末頃には完全自動運転=Full Self-driving(FSD)の機能をソフトウェアアップデートで提供すると宣言していた。FSDの提供によってTeslaが目指しているのが、既に販売された車両も含めて世界中のTesla車をロボタクシー(自動運転タクシー)にすることだ。

 これが実現すると、オーナーがTesla車を使っていない時は車両がロボタクシーとして稼働し、他の乗客を運ぶモビリティサービスを提供できるようになる。現在のクルマの稼働率は平均週12時間程度(=約7.1%)であるが、ロボタクシー化することでその5倍の週60時間(=約35.7%)へと飛躍的に向上するというのがマスクCEOの主張だ。

 2020年時点で累計100万台のTesla車が販売されていることから、単純計算するとソフトウェアアップデートによって突然100万台規模のロボタクシーサービスが誕生することになる。本当にこれが実現すれば、モビリティサービスの分野に激震が走ることになる。

 マスクCEOの戦略に沿う形で昨年10月21日にはFSDのソフトウェアアップデートのベータ版がリリースされている。しかも1万ドル(約108万円)というかなり高額のソフトウェアのパッケージだ。2月の時点で既に1000人程度が既に導入しており、Teslaとしてはさらに多くのモニターを募集していく意向だ。

 FSDを推し進めてロボタクシー化を目指すTeslaだが、この動きに強い反論を唱えているのがGoogle系Waymoだ。


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