ザ・移動革命

2020年11月24日

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伊藤慎介 (いとう・しんすけ)

株式会社rimOnO 代表取締役社長

1999年に旧通商産業省(経済産業省)に入省し、自動車、IT、エレクトロニクス、航空機などの分野で複数の国家プロジェクトに携わる。2014年に退官し、同年9月に超小型電気自動車のベンチャー企業、株式会社rimOnO(リモノ)を設立。2016年5月に布製ボディの超小型電気自動車”rimOnO Prototype 01”を発表。現在は、CASEやMaaSなどモビリティ分野のイノベーション活動に従事。KPMGモビリティ研究所アドバイザー、東京電力ホールディングス株式会EV戦略特任顧問などを兼務。

 事実上の開発凍結に至ってしまった初の国産ジェット機プロジェクトである三菱スペースジェット。三菱重工業の発表によると型式証明を取得する作業は続けるとのことだが、量産計画は凍結することになりそうだ。

 後編(【前編】『なぜ国産ジェット機は開発凍結に至ってしまったのか?』)では事実上の開発凍結が今後の航空機産業に対してどのような影響をもたらすのか、そのインパクトについて述べたい。

三菱MRJ(kimtetsu/gettyimages)

 最初に述べたいのが民間航空機ビジネスへの影響だ。

 当時MRJ及びスペースジェットに関わっていた関係者には、リージョナルジェットの開発を成功させることで、将来的にボーイングの売れ筋商品であるボーイング737の事業に関与していきたいという隠れた思いがあった。LCCなどが多用するボーイング737は737MAXの墜落事故が発生するまでは世界的な人気商品であり、このシリーズの一部を日本企業が担うことができれば大きな市場を狙えるからだ。

 しかし、スペースジェットの開発が遅れていく一方で、カナダ・ボンバルディアのリージョナルジェット機事業はエアバスに買収され、ブラジル・エンブラエルはボーイングともに歩む道を進めていった。また、リージョナルジェットへの新規参入で日本よりも先行していたロシアはスホーイ・スーパージェットで、中国はCOMAC・ARJ21で開発・量産に成功させている。

スホーイ・スーパージェット( Artyom_Anikeev/gettyimages)
COMACARJ21( Boarding1Now/gettyimages)

 スペースジェットが量産に至らないとなると、ボンバルディアやエンブラエルとの比較ではもちろんのこと、ロシアのスホーイ、中国のCOMACとの比較でも日本の航空機業界の実力は劣後した評価にならざるをえないだろう。そうすると、ここまで着実に参画比率を伸ばしてきた“国際共同開発”への影響が懸念される。

 そして政府の様々な取り組みに対する影響も計り知れない。

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