共和党への転向はあるのか?
そこで今、ワシントン政界では「マンチン議員の転向はありうるか」「いまだに民主党にとどまっている理由は何か」といった話題で持ちきりとなっている。保守系のWashingtonTimes紙も去る1月14日、特別社説を掲げ、「自身も主張する保守主義政策を政府に直接反映させるには、上院における50対50の均衡を破ることが先決であり、そのためにも早く民主党に見切りをつけるべきだ」としてマンチン議員に共和党への転向を呼びかけた。
ただ、同議員を良く知る多くの関係者の見方は、転向に否定的だ。
州知事時代にマンチン氏の弁護士を務めたクリストファー・リーガン氏はオピニオン誌The Atlantic(2月5日)への寄稿文の中で、「マンチン議員は、両党勢力が拮抗する今でこそ、最も自分の持てるパワーを最大限発揮でき、同じ民主党政権下で大事にされることを十二分にわきまえている。まさにキングメーカーだ」と論評、かりに議会主導権が野党共和党に移った場合、逆に存在を軽く見られることになるとの見方を示した。
第1弾の「米国救済法」の成立に気を良くしたバイデン政権は、第2弾として近く、より大掛かりな3兆ドル規模の「インフラ整備・投資」「脱炭素化」計画法案提出をめざす。今後4年間、バイデン政権が取り組む最重要の大事業と位置付けられており、ここでも議会審議で成否のカギを握るのが、マンチン議員ということになる。
しかしその一方で、もし来年11月の中間選挙の結果、上院の均衡が崩れ、民主、共和のいずれかが単純過半数を獲得することになった場合、同議員の影響力低下は避け難い。
その意味で、“マンチン・パワー”はまさに、今が全開の時期と言えるだろう。
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