自粛の反動? 本土からのハワイ観光客が激増
昨年3月に新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発令された後、アメリカでは感染は瞬く間に拡大。前政権がことあるごとにウイルス軽視姿勢を示していたことが、主にトランプ前大統領支持者の間でマスクやソーシャルディスタンスへの反発へとつながったのは記憶に新しい。感染者数が世界一という状態が長く続き、2021年1月には新規感染者が毎日全国で20万人以上を超えるという異常事態にまで発展した。
しかし、ジョー・バイデン大統領就任後はマスク着用が奨励され、ワクチン接種が猛スピードで計画的に展開されていったことで、アメリカの感染者数や死者数は急激な減少傾向に転換。ワクチン接種者が増えると同時に、過去1年間の外出自粛などで我慢してきた反動からか、3月になり国民の間で旅行熱が一気に高まってきた。
ハワイ州では昨年10月15日から、出発72時間以内にウイルス検査を受け発行された新型コロナ陰性証明書を提出すれば自主隔離を免除するプログラムを開始し、実質上本格的な観光再開を行った。しかしアメリカ本土でウイルスが猛威を振るっていた不安感からか、年末年始でも国内の観光客数は例年の4分の1程度にとどまっていた。
しかし、バイデン大統領就任後、国内でワクチン接種が順調に進んでいることで安心感が生まれたのか、今年3月にはその状況が急変。ハワイ州ビジネス経済観光局の統計によると、ちょうど春休みが始まった頃の3月20日には、本土からの到着客が数が一気に伸びて、2019年の水準に近い2万2019人を記録。それまで寂しい雰囲気だったワイキキのカラカウア通りは本土からの観光客で混み合い、それに伴ってホテルやレストラン、レンタカー会社も急に忙しくなった。
一方、ハワイから、新型コロナ対策が徹底していない場合も多い本土の他州へ旅行に行く人はまだ少ない。感染の危険を冒して州外に出るより、比較的安全な地元で過ごしたいと考える人が多いようで、アラモアナ・ビーチパークなどのスポットは普段より混み合うようになった。
ハワイ州では昨年11月から国外から陰性証明書提出の条件付きでの訪問者も同様に受け入れているが、ゴールデンウィーク中でも日本人観光客はまだほとんど見当たらなかった。同局の国際到着客統計によると、5月1日の日本からの訪問者数は68人。2日~6日は0人~96人とばらつきがあり、7日には少し増えて130人だった。陰性証明書さえあれば日本からハワイへ来るのは問題ないが、日本帰国の際の受け入れ態勢がまだ厳しく、帰国後14日間の自主隔離をしなければならないことから、今海外旅行をできる日本人は時間に余裕があるごく少数の人々に限られているのだろう。日本でワクチン接種が今後順調に進み、帰国の際の自主隔離免除が可能になれば、日本人観光客も遅くとも秋頃までには安心してハワイ旅行に来られるようになるはずだ。
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