2024年4月26日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年5月19日

「カルト化」する共和党

 デント氏等は、「共和党議員は最後の望みをかけて全国で投票権の邪魔に出た」とも述べました。南部ジョージア州を含めた共和党が強い州議会では「投票抑制法」が成立しました(詳細は『バイデンの対中国戦略と日米首脳会談』参照)。その意図は、民主党支持のマイノリティ(少数派)票の削減にあるとみられています。

 さらに、共和党に変わる組織設立の運動を「深刻な欠陥のある(2度弾劾された)男に取りつかれた共和党の個人崇拝から決別する政治運動」と、デント氏等は説明しました。共和党の「トランプ氏崇拝」を批判した訳です。

 5人のメンバーの1人であるウィットマン元知事は米公共ラジオ(NPR)とのインタビューで、「共和党では政策や民主主義の原則よりも、トランプに対する忠誠心が重視され、彼に逆らうと除外される」と語りました。そのうえで、「これは党ではない。カルト集団だ」と断言したのです。

 トランプ弾劾決議に賛成票を投じた10人の共和党下院議員のうちの1人であるアダム・キンジンガー下院議員(中西部イリノイ州)は、同党と北朝鮮が類似しているという見解を示しました。トランプ氏と金正恩総書記に対する個人崇拝や、忠誠心が政策よりも重要である点で共通しているからでしょう。

 『トランプに賭ける共和党のリスク』で紹介しましたが、チェイニー下院議員は5月6日、ワシントン・ポスト紙(電子版)に投稿し、「共和党はトランプ氏に対する個人崇拝を避ける必要がある」と主張しました。ウィットマン元知事やキンジンガー下院議員と同様、チェイニー氏も共和党が「カルト化」していると捉えています。


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