2022年12月5日(月)

Wedge REPORT

2021年9月9日

»著者プロフィール
閉じる

樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 しかし、かつてないほど派閥の締め付けが弱まっているなかでの選挙戦は、どの派閥が誰を支持するか、各派閥からの〝造反者〟がだれに投票するか――など多数派工作だけが焦点となってしまっているようだ。

 それに拍車をかけているのが、菅首相は河野氏、安倍前首相は高市氏をそれぞれ支持する――などと伝えられていることだ。辞めた人が選挙戦に口出しをすることの是非は措くとしても、〝仁義なき乱戦〟をいさめるべき立場であるべき人が、逆のことをしているのだから、とうていまっとうな選挙戦は期待できまい。

 こんなことだから、リーダーとしてふさわしい人ではなく、「選挙の顔」の役割を担うだけの〝ポスター首相〟、「安倍政治の継承」をうたっただけで何をしたいのかさっぱりわからなかった菅首相のような新首相が登場する可能性もあろう。そうなれば、国益を大きく損なう。

「二流国に甘んじろ」との指摘も

 今回の総裁選に対する客観的な分析、見方を紹介したい。

 前出のアメリカ人の日本専門家。

 「思い切って40代くらいの若い人に任せるべきだ。二世議員はもちろん、政治の世界で長年活動してきた人もいけない。当選回数は少なくても、実業界や学界の出身者で、ITに詳しい人。世界の流れや動きがよくみえる人に、IT時代の国のあり方をしっかり考えてもらうべきだ」――。二世も、長年永田町という閉鎖社会で活動してきた人もだめとなると、いまのすべて、その範疇中に入ってしまう。

 もうひとつ、刺激的なコメントを紹介しよう。専門の経済にとどまらず、鋭い視点で社会論、文明論を展開している京都大学名誉教授の佐伯啓思氏だ。

 「日本は戦後の経済復興を成し遂げ、一流国になる夢を実現したが、グローバルな競争の中で、もう一流国には戻ることができなくなってきている」「国民の意識が希薄になり、何をしたいのか、どういう未来を開きたいのかが国民自身もわからなくなって、国家目標などとっくに失われている。政治家や官僚が頑張っても時の流れ、時の勢いには抗しきれない」「国民の多くはそれでいいと思っている。二流国として快適な生き方を探すのもいい」――。

 警句、諧謔、諦観に満ちたというべきコメントを、総裁候補といわれる政治家は、どう聞き、有権者どう感じるか。

 総裁選挙、その直後にやってくる総選挙こそ、一流国にとどまることができるか、二流国に成り下がるかの、まさに分岐点だろう。 

  
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る