社員を楽しませる工夫が盛りだくさん
厨房スタッフはコスプレまで
社員食堂のランチメニューは基本的にデリスタイルだ。厨房のスタッフに告げ、ショーケースに並んだおかずを取り分けてもらう。スタッフのユニフォームは白シャツにモスグリーンのキャスケット風の帽子と同色のエプロン。彼女たちもまるでカフェの店員のようにかわいらしい。
支配人を務めるのはエームサービス株式会社の長命加那子さん。26歳という若さながら、スクウェア・エニックス・グループの社員食堂を任された。弓削さんらは「ひとつのキーワードを言うだけで、いろんな企画を提案してくれる。彼女に任せておけば何も問題ない」と絶大な信頼を置いている。
スクエニが長命さんら社員食堂のスタッフに求めたのは、野菜をふんだんに使うなど健康的なメニューであることはもちろん、「スクエニならではのエンタメ性」だった。独創性のあるコンテンツは、毎日の生活に「ワクワク」していてこそ生み出せる。おいしくて体に良いだけではなく、思わず社外からの客を誘いたくなるような、楽しい社員食堂が求められていた。
長命さんらの工夫は随所に伺える。たとえば、カフェラテ(Sサイズ150円など)には、ラテアートを施すことがある。描かれているのは同社が手掛けるゲームに登場する人気キャラクター、チョコボやドラキー、スペースインベーダーだ。
厨房前の飾り付けも長命さんらスタッフが行ったもの。取材時にはクリスマスツリーが飾られていたが、10月にはハロウィーン仕様だったという。最も社員から好評だったのは、ハロウィーン当日に厨房スタッフらが行った“コスプレ”だ。
「食堂を利用していただくお客様は1日で1,100~1,200人ぐらいですが、その日は300~400人増えました。厨房スタッフが“コスプレ”していることが口コミで広がったみたいです」と長命さん。こういった趣向は、全て厨房スタッフが自発的に企画し、行っている。弓削さんが「社員はクリスマスも今から楽しみにしていますよ」と言うと、長命さんはにっこり。社員にとって、社員食堂は“エンタメ”であると同時に“癒し”であるとも言えそうだ。