2022年12月10日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月7日

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 他方、米国のバイデン大統領も核合意の復活を望んでいる。その意図は、基本的にはイランの核関連努力を封じ込めたいからである。その上、バイデン政権は、中東におけるイランの重要性に鑑み、イランとの関係を重視しているものと見られる。

合意を左右するIAEAの査察

 バイデン政権は既にイランのライバルのサウジとの関係を格下げし、国連におけるイランとの制裁合戦を終え、イランの政府当局者に対する規制の一部を止めている。これらの措置はイラン核合意への復帰のためと言うよりは、イランとの関係を重視している結果であると見られる。

 なお、核合意への復帰に関しては、イラン国内に未申告核施設があり、これらに対するIAEAの査察をイランが妨害しているという基本的欠陥がある。バイデン政権は核合意の復帰をイランと交渉する際は、この問題に対処する必要に迫られるだろう。9月13日付けのウォールストリート・ジャーナリスト社説‘Will anything stop Biden from trying to revie the flawed deal?’は「軍備管理合意の効果は、敵対国を相手にする場合には、合意に盛られる査察と監視手段次第である」と述べ、バイデンにこの原則を理解するよう釘を刺している。

 イランが核合意再建の協議に向けたシグナルを発しているといっても、真摯に合意にコミットするというよりも、如何に制裁解除を引き出すかに重点を置くと思われるので、核合意の復活がスムーズに進むことは期待できない。

 ロイターの報道によれば、米国務省高官は、「核合意再建に向けた協議に依然関心があるものの協議の窓は永遠に開かれているわけではない」、「米国は忍耐強く対応する用意があるが、ある時点でイランの核開発の進展が核合意を超えてしまい、米国とその友好国はイランが核合意を再建する意思があるかどうかを判断しなければならない状況になる」と述べた由である。

  
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