2024年5月5日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2012年12月21日

東北水産業の本当の強みとは何か?
そして何をどうすればよいのか?

 被災を受けた三陸の復興には、水産業が欠かせないことは言うまでもありません。復興の鍵は水産資源の回復です。三陸の強みとは何でしょうか? それは、世界三大漁場に接していることなのです。そこできちんと資源管理がなされ、漁獲された水産物を使用して、国内外に販売できるようになれば、それが最大の強みになるのです。

 その強みを活かすための方策の一つが、ノルウェー型の個別割当て方式です。特に水揚げの落ち込みが激しい沖合漁業に適合し威力を発揮します。震災の影響で、漁場や魚種が制限されたり、漁獲できなかったりと一時的に法的な漁獲制限が行われています。しかし「今年は魚がいるじゃないか」などとのん気なことを言っている場合ではありません。魚は獲らなければ増えるのです。この間に回復した資源を守り、持続可能していくことが非常に重要です。

 今のままでは、また同じことの繰り返しで魚は減っていってしまうだけなのです。時間はありません。このままで事態が好転していくと思っている人は少ないはずです。加工処理能力を超えても大漁を良しとして獲り続けた結果、価値ある魚を生産するための処理が間に合わず、餌用にせざるを得ず、サバの「がんがん」が起こってしまうのです。言うまでもなく、個々でしっかり管理されて長年に渡り良い効果が持続しているやり方を否定するものでは全くありません。ただ、自主管理に任せるのは、極一部の例外を除きかなり難しいのです。

 年明けには、気仙沼市の主催でノルウェーへの視察団が派遣されます。ノルウェーでの現実を見て「真実は何か」「何がどうなっているのか」「何をどうしたらよくなるのか」が分かる方々が増え、被災地の復興に役立っていくことを心より願っております。


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