2024年11月24日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2012年12月21日

 ノルウェーでは、餌用になるサバは、1%未満です。餌用には、大きくなっても価値がでないイカナゴ等の魚が使用されています。日本では、がんがんにしかならないような小サバの漁獲も問題ですが、中・大型のサバでも上記のように水揚げがまとまると、たちまちがんがんと価格の安い餌用に回されてしまってしまう仕組みになってしまっているのです。これで、自主的な管理が機能しているといえるのでしょうか。

 また、明文化されずその場限りでルールが変わっていくような漁獲制限では、年間を通しての効果は期待できません。ノルウェーでは漁獲枠と個別割当て枠の残枠を意識して買い手側は入札するので、価格は安定しており、日本のような極端な価格の変動は起きないのです。太平洋のマサバに関しては、日本のEEZ内を泳いでいる資源です。北欧でのサバ漁で発生しているような近隣諸国と、「このサバはどの国のものだ?」という問題も生じないので、本来は特に管理がし易いはずなのです。

2005年に摘発された英国での
サバ不正水揚げ事件とその後の資源回復

 北欧のサバは、EUの排他的経済水域(EEZ)をまたいで泳ぐ回遊魚です。同じサバが、ノルウェーとEU間を泳いでいますので、どちらかで漁獲枠を超えて過剰漁獲を続ければ全体の資源は減少して行きます。

 2005年の9月に、英国の2工場で大掛かりな不正水揚げが同時摘発されました。この問題は、摘発の数年前からノルウェー・デンマークといった同じサバを漁獲・生産する国々から、「このままではサバの資源が減少してしまう」と問題視されていました。極端な言い方をすれば、魚価が半分でも、水揚げ量が3倍であれば、漁業者の手取りが多く、生産する冷凍加工場も安い原料を大量に手当てできるのです。勿論、漁獲枠以上に獲れば違法行為です。

 そして、ついに2005年9/27に査察団が入り、法廷での係争となり英国の漁業者とパッカー(冷凍加工業者)が有罪となりました。当時ノルウェーの買付先は、英国政府のチェック体制に原因があると言っていました。ノルウェーの場合、水揚げ数量を厳格に測定する装置が付いていて、正確な水揚げ数量がいつでも分かる体制になっています。また、水揚げ現場とパッカー(冷凍加工業者)には、政府の検査員が予告なしに頻繁に出入りをしています。

 一方で、英国の工場の場合は、計量器の設置を様々な理由をつけて行いませんでした。また、政府の検査官は事前に訪問する連絡をしてから工場に行くシステムになっていたので、これでは「泥棒に『警察が明日来るよ』」と事前に伝えるようなものだ」と批判していました。


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