2022年12月6日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月3日

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今後を左右する政治的工作の可否

 カスティージョにとって取るべき措置は、議会で多数派を占める中道派政党とセロン派以外の左派の支持を固め与党化し、更に右派の一部もできれば取り込むことである。そのような政治的工作ができるのかは、アドバイザー次第でもあろう。左派ではあるが、中央銀行や世銀勤務の経験のあるエコノミストであるフランケ経済・財務相や議会議長の経験のある民主主義者として評価の高いバスケス首相らがカスティージョを支える必要がある。

 また、そのためには、憲法改正といった過激なアジェンダは全て取り下げ、米国などとの関係にも配慮しなければならない。10月15日に発表された2026年までの政権5カ年計画の重点項目は表面上、農業や地方開発、科学技術や教育振興、地方分権化や公共サービスの強化、安全や麻薬対策強化といった、イデオロギー性の希薄なものとなっている。外交は、外交官出身の外相に任せるようなので、左派新政権の発足が地域の左傾化を促進するといった懸念も当分遠のいたと言えよう。

 支持政党を過激な共産主義政党から左派穏健派と中道政党に乗り換えることができれば、二極化しているわけではない国民の支持を得て、共産主義政党に支持された元田舎教師が穏健左派として評価される大統領に変身することも可能かもしれない。

 このようなペルー政治の現状は、大統領選挙が個人に着目する人気投票となるため政党の選択となる議会選挙の結果と乖離してしまうという制度上の宿命と、政党組織が未発達で民意の受け皿の役割を果たしていないという同国の政治風土に起因している。

  
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