2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月2日

 前述のエコノミストの社説の主張、プーチン後のロシアを考えるべきであるという点はその通りである。ロシアの世論は弾圧で抑え込まれているが、ロシアの世論は反プーチンになってきている。この社説が言う西側への好意的評価、特に若者におけるその傾向は明らかである。プーチン・システムがプーチンを超えて生き残ることはないとの判断にも賛成できる。

親西側政権誕生も近い?

 かつてソ連では、スターリンの死後、マレンコフが一時指導者になったが、政権内で権力闘争が起こり、ベリヤの逮捕、モロトフの追放を経て、フルシチョフが20回党大会でスターリン批判を行った。プーチン後にも同じことが起こる可能性は高い。プーチンが弾圧を強化し、先の国会選挙でもオンライン投票を導入し結果を操作したことは、そもそも信用できない世論調査の結果よりもプーチンの実際の支持率が低くなっているからであろう。

 ロシアでは新型コロナウイルス感染者が増加している。プーチンはコロナウイルスに対するワクチン、スプートニクVをロシア人にうたせようとしているが、軍人への強制などをしても接種率は30%程度である。接種証明なしにはレストランに入れないなどの規則を作り、接種を進めようとしているが進んでいない。

 政権に対する信頼度は極めて低いことがここにも現れている。プーチン自身はワクチンを打ったというが、これがスプートニクVなのか西側のワクチンなのかははっきりしない。

 プーチン後には若干の紆余曲折はあろうが、親西側の政権ができると考えられる。その時こそが日露関係の正常化へのチャンス、中露を離間させるチャンスになるだろう。今のプーチン政権には厳しく、批判的な態度をとることがプーチン後に備えることになるだろう。いずれにせよ、プーチンでは日露の領土問題は解決しないことは明らかである。

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