ロシアには、スターリンの犯罪記録などを残している「メモリアル」という団体がある。メモリアルは1987年に樹立されたが、当時は反体制派アンドレイ・サハロフとミハイル・ゴルバチョフの初期のグラスノスチとペレストロイカの時代で、民主主義が根付くだろうという希望が大きかった。
メモリアルはスターリン時代の弾圧についての卓越した文書集を作り、それを保存してきた。メモリアルは現在でも酷い人権侵害に対し人々を守っている。
プーチン政権は、2014年にメモリアルを「外国のエージェント」と指定した。メモリアルは、最初にそのような指定を受けた団体の一つである。
10月14日、メモリアルのスポンサーにより、1930年にスターリンが引き起こしたウクライナでの飢饉に関する映画が上映された際に、暴力的なグループが乱入し妨害行為を行った。メモリアルは警察を呼び、暴漢たちは退去させられた。しかし、警察は同時に、メモリアルの従業員を尋問のために内部にとどまるように強制した。その際メモリアルのデジタル・ビデオ・レコーダーを持ち去った。翌日警察が戻り、文書を調べることを要求、コンピューターを押収した。
これは、明らかにメモリアルに対するプーチン政権による弾圧である。この弾圧措置は、プーチンがスターリンの礼賛者、擁護者であることをはっきりと示している。メモリアルはスターリンの犯罪の犠牲者の名誉を回復することを主たる目的として設立されたものであり、その活動を弾圧することはスターリンの犯罪を隠蔽し、ロシア史の真実を蔽い隠すことに他ならない。