2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月11日

 プーチンは、ゴルバチョフ、エリツィン時代の否定のみならず、第20回共産党大会でのフルシチョフのスターリン批判演説も飛び越えて、スターリンの時代がロシアの良き日々であったと考えているように思える。

プーチン時代では断じてない日ソ平和条約

 10月21日付けワシントン・ポスト紙社説‘Do not forget these courageous fighters in Russia’は「プーチンはすでにソ連末期と新ロシアのプレスと多くのNGOの息を止めて来た。メモリアルや他のグループが、出現してきている民主主義と市民社会と協力し、ロシアの暗い歴史に戻ることを阻止するだろうと広く希望されていた。しかし、プーチンは今日、暗い日々を祝福し、その方法を真似している」と批判する。その通りである。

 エリツィンは訪日時、スターリンの行った日本人兵士のいわゆるシベリア抑留を謝罪したが、プーチンにはそのような考えは全くないと断じてよい。プーチンは、スターリンが行った北方領土「奪取」についても、フルシチョフの日ソ国交正常化時の約束である、歯舞・色丹の返還さえ反故にしようと策謀している。

 プーチンを相手に日ソの領土問題を解決して日ソ平和条約を結ぶことは考えられない。我々は、スターリンの時代に先祖返りしたプーチン政権に対しては批判的な姿勢を堅持し、何等の利益も与えないことにするのが正解であると思われる。

 今のプーチン政権は国民の支持もなく、国民を弾圧するうえで成り立っている脆弱な政権であり、政権は利権で甘い汁を吸っている人々、或いはそうした側に立ちたい人々、軍や秘密警察またはその後継者によって支えられている。プーチンのもとでロシアは経済的にも衰退して来ている。そして、公正な選挙は行わず、オンライン投票での票の操作で生き残っている政権である。プーチン政権が2036年まで続くことはほぼあり得ないと思われる。

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