世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月30日

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 ロシアは4年に一度、ザーパドという大規模な軍事演習を行っている。今年は9月9日より16日までの間、ロシア軍とベラルーシ軍が共同して行っている。事前に、ベラルーシは1万3000人の兵士が直接参加すると言っていたが、ロシアは20万人の兵士が参加すると言っていた、と報じられている。これが正確な数字であるとすれば、歴史上最大の演習の一つになる。

 この演習は近隣諸国を警戒させており、ポーランドは緊急事態宣言を発出している。ウクライナも、この演習を注意深く観察すると同国の外相は言っている。

Martin Holverda / DancingMan / iStock / Getty Images Plus

 9月9日付のエコノミスト誌の記事は、この演習の目的につき、ロシアの防衛シンクタンク、戦略・技術センターのプーホフ所長の見方を紹介している。それによれば、プーホフは、「モスクワにとり演習の主目的は西側を挑発するよりも戦闘準備を維持することにある。NATOの潜在力はロシアを数倍も超えるので、ロシアがNATOの軍事的優位に対抗するためには迅速な反応と配備しかない」と述べている。この分析は大体正しいと思われるが、いずれにせよ、近隣諸国の警戒心を喚起している。

 それ以上に気になるのは、1999年に締結された条約によるロシアとベラルーシの国家統合が、今回のルカシェンコ訪ロの際に、プーチンとルカシェンコの間で28もの合意が締結され、前進しているように見えることである。合意を精査してみないとその影響はよくわからない。

 上記のエコノミストの記事は、貨幣の統合やガスの価格をロシアの国内価格と同じにすることは見送られた、と報じているが、ロシアとベラルーシの関係がこれまで以上に緊密化しているのは明らかである。

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